カジノはブラックジャックのどこで儲けているか--そこを逆手にとれば・・・

カジノを長く楽しむ、負けにくいブラックジャックの大原則とは?

4月7日に投開票される、統一地方選の結果にもよりますが、日本版カジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致でリードする大阪府/市は、2024年の開業を目標にしています。
あと5年というのは、長いようで短い。
カジノのテーブルゲームを「最強のコミュニケーションツール」の一つとして使いこなすには、今から準備しても、早すぎることはありません。
その「ツール」としておすすめなのがブラックジャック(BJ)です。

子供のころお正月にやったトランプのゲーム『ドボン』、あるいは『21』を思い出してください。ゲームですから多少の偏りがあるにしても、確か、勝ったり負けたり、ではなかったですか? どんなにゲームが強い人でも、ずっと勝ち続けることはできません。では、なぜBJがカジノゲームとして取り入れられているのか。
前回書いたように、6デッキのBJでのハウスエッジは0.62%となっています。

ここでBJテーブル(写真)に目を向けてみましょう。
真ん中の行に書かれている
“Dealer must stand on 17 and must draw to 16.”
これが、カジノ側(=ディーラー/親)がBJをプレーするときの大原則です。
だれが親を務めても、「手札の合計が17以上になれば必ずスタンド(それ以上引かない)で勝負、16以下は必ずドロー(ヒットとも言い、次のカードを引く)」ことは決まっています。
つまり、ディーラーは言ってみれば機械と同じ。プレーに選択肢はありません。この大原則に沿って、カードを配っているだけなのです。

この理屈は簡単です。BJは合計が「21」を超えてしまうと、バスト(bust=ドボン)で即負け。合計17からもう1枚のカードを引くと、5以上のカードでバストしてしまいます。A(エース)からK(キング)、13枚のカードのうち、該当するのは9枚。9/13=69%の確率で負けが決まってしまう。
だからこそ、スタンドするのです。

カジノ側と同じ戦略は、効果的な必勝法となるか?

だったら、我々=プレーヤー(/子)も、同じルールを守ってプレーすれば、少なくとも負けない、引き分けに持ち込めるのでは、という考えが浮かびます。囲碁で言えば、マネ碁(相手の打った石から点対称の位置にマネをしながら打っていくこと)のような戦法ですね。

とても良いところに気がつきました。だけど、この作戦には弱点がある。
それはBJでは「プレーヤー側が先にプレーを完了する」ことです。
もし、このルール通りにプレーして、プレーヤーは先にバストした時点で負けが決まり。テーブルに賭けていたチップは、すぐに没収されてしまいます。
〝バストハンド〟が配られる確率は、プレーヤーもディーラーも同じ(約28%)ですが、ディーラーは仮にバストしても、すでにバストしているプレーヤーには〝勝っている〟という理屈です。
カジノ側は、みすみす損をするようなゲームは採用しません。
この差で生じるハウスエッジの0.62%を積み重ねて、収益をあげているわけです。

親のアップカード(見えているカード)が勝利への道しるべになる

では、どうやってBJで勝てるのか。ここは、
“Dealer must stand on 17 and must draw to 16.”
のルールを逆手に取りましょう。
ディーラー(親)は「手札の合計が16以下の時は必ずドロー(次のカードを引く=ヒット)」しなければなならない。
親の手札の1枚はアップカードとして表向きにされる--ここに注目です。
親のアップカードが「2」「3」「4」「5」「6」の時はチャンス!
これだけは覚えておいてください。特に「4」「5」「6」の時は大きなチャンスで、古くからのBJ解析によれば、ディーラーがバストする確率が42%もあります。

「10」と数える絵札と10は13枚中4枚。何組のカードが使われていても、30.8%は「10」とカウントするカードです。これが親のもう1枚の見せないカードだと考えれば、2枚の和は14~16。ここから”must draw”だと、バストする確率が高いことが分かるでしょう。
だからこそ、親のアップカードが「2」「3」「4」「5」「6」の時は、こちら(子)は決して先にバストしないことが肝心です。この5種類の中で、親にとってまだマシな「2」「3」の場合に限っても、約35%の確率でバストしてくれます。
これがBJで勝つための最も基本的な作戦です。
それを示したのが《表1》の黄色(スタンド)の部分です。〝ハードハンド〟とは、Aを含まない手、またはAを1として数えた手のこと。例えば「10」+5、A+5+9は、どちらも合計15、ハード15です。
親のアップカードが「5」の時は、ハード15ではスタンドして、親のバストを待つ・・・。

子、つまり我々プレイヤーが突くのが、この弱点です。
ゲームが始まり、2枚のカードが配られたとき、〝まず最初に親のアップカードを確認する〟習慣をつけましょう。

アップカード2~6は親が弱く、7~Aは親が強い状況。
親が弱い時、こちらがカードを引きすぎて、先にバストしてしまうのは厳禁です。
例えばアップカードが5ならば、子は合計12だってスタンド。こうして親がバストしていくのを見るうちに、BJは自分の手を21に近づけるのが目的ではなく〝とにかく親に勝てば良い〟ということに気がつきます。
時にはテーブルに同席した全員で、親をバストに追い込む。「BJはチームプレイだ」と言われる所以です。
ボクはこのテーブルで味わう一体感がたまりません。

9以下ならばヒット、17以上はスタンドが大原則

親のアップカードと見比べて、我々がプレイすべき最善手はどれか?
これは十分に計算し尽くされ「基本戦略=ベーシック・ストラテジー」としてまとめられています。
それが《表1》と《表2》です。

まず、表に挙げていない局面として、子がハードハンドのときは、

・9以下は必ずヒット
・17以上は必ずスタンド

を大原則にして、スタンドとヒットの判断を行います。

「ダブルダウン」とは、賭け金を2倍にして、あと1枚だけのヒットで勝負すること。
《表2》の「スプリット」とは、配られた2枚が同じ数字の時、カードを分けて別々の手として勝負することです。
《表1》にある〝ソフトハンド〟はAを含む時のプレーの仕方です。
いっぺんに覚えるのは難しい? ならば、
・9以下は必ずヒット
・17以上は必ずスタンド
の大原則と、最初に書いた「黄色(スタンド)の部分」だけを頭に入れておくだけで、十分に勝負になります。
そして、小さく賭けて、回数をこなすうちに、自然とベーシック・ストラテジーが肌で分かるようになるでしょう。

ここまでくれば、あなたもBJのセミプロの仲間入りです。
なにも怖いことはありません。世界のどこかのカジノでお会いしましょう。
日本版IRが開業する暁には、カッコ良くBJをプレーするために。

◇片山 真(かたやま まこと)
ギャンブル・ライター、競馬ジャーナリスト
1961年生まれ。東京大学農学部畜産獣医学科卒、同大学院修士課程修了。夕刊紙で本紙予想を14年間担当し、現在は夕刊フジで週末の競馬予想を展開している。カジノ歴は28年、デビューはマカオのリスボア。主戦はブラックジャックで、ドイツ・バーデンバーデンのカジノがお気に入り。海外遠征回数は3ケタを数える。

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