「高すぎるマンション」はいつ買うか?五輪、低金利、消費増税…敏腕住宅コンサルの結論は?

五輪後もマンション価格は暴落しない

引き続き、分譲マンション価格について分析します。今般、価格の割高感がクローズアップされています。実際、その設定価格に消費者はついて来れず、首都圏の新築分譲マンションは販売不振の憂き目に遭っています。

不動産経済研究所によると、18年の1年間に首都圏(1都3県)で分譲された新築マンションの契約率は62.1%でした。好不調の分かれ目となる70%を3年連続で下回り、バブル経済が崩壊した1991年(58.3%)に次ぐ27年ぶりの低水準となりました(図表)。

【図表】首都圏の新築分譲マンション 価格や契約率などの年間推移

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
販売価格(万円)

(うち東京23区)

5,060

(5,994)

5,518

(6,732)

5,490

(6,629)

5,908

(7,089)

5,871

(7,142)

契約率(%) 75.1 74.5 68.8 68.1 62.1
供給戸数(戸) 44,913 40,449 35,772 35,898 37,132
販売在庫(戸) 6,042 6,431 7,160 7,106 9,552

(出展)不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」

特に目に付くのが、東京23区のマンション価格の高騰ぶりです。この5年間で約2割(1148万円)も上昇しました。こうした“価格のミスマッチ”(売り手主導の一方的な値付け)をあざ笑うかのように、マンション契約率は低下の一途をたどっており、反比例する形で販売在庫は積み上がっています。需給バランスは均衡を保てていません。市場機能の不全がマンション販売を視界不良にしているのです。

東京五輪開幕まで1年半を切りました。専門家の間では、五輪が終わったら、崖(がけ)を転がり落ちるように景気が急降下する「五輪の崖」を心配する声が少なくありません。その余波はマンション市場をも脅かし、20年以降は分譲業者が強気な価格設定を改め、調整(値下げ)に走るのではないか?―― そんな憶測が飛び交い、「マンションを買うなら五輪が終わるまで待て」という主張の根拠となっています。

しかし、その点について、私は懐疑的です。少なくとも、財務力のある大手デベロッパーは価格競争(一斉値下げ)をしないでしょう。大会終了後、選手村のマンションがリフォームされて一般分譲されますが、こうした格安マンションと競争しても消耗戦を強いられるだけです。

私が業界に身を置いていた経験から言えば、損益分岐点を下回ってまで販売(損切り)するとは考えにくい。もし、これだけ積み上がった販売在庫をたたき売ったら、経営に大打撃を与えることになるからです。

塩漬けして頃合いを見計らい、再販するのが販売業者の常とう手段。ですから、20年の東京五輪後に大幅なマンション価格の下落が起こるとは思えないのです。

マンションを買い急ぐ理由はなし!ライフプランを見直そう

以上、これまでの話を整理すると、次のようになります。

・住宅ローン金利の先高観はなく、当面、低位安定を維持する
・制度設計上、住宅ローン減税による損得は発生しない
・2020年以降、マンション価格の下落については懐疑的

冒頭で述べたように、結論としては消費増税を意識する必要はありません。買い急ぐ理由が見当たらないからです。

月並みな答えになりますが、自身のライフプランが買い時を見定める最重な要素となります。結婚・出産・退職など、人生の節目を起点に住み替えるのが理想的です。

足もと、金利上昇の心配はなく、消費増税も住宅ローン減税によりプラス・マイナス・ゼロ(実質負担なし)となります。ただし、首都圏では住宅価格が高原状態(高止まり)にあり、飛びつくと高値づかみする危険があります。

投資目的なら損得勘定で判断するのが合理的ですが、自ら住むための実需目的であれば、金利・価格・住宅税制といった外部要因に縛られず、人生設計に裏付けられた内部要因(結婚・出産・退職など)を意識した買い時探しが重要となります。打算的な思考に支配され、本来あるべき購入のタイミングを見誤らないよう、自分のライフプランを見つめ直す作業から始めてください。

<関連記事「マンションの買い時を見極める5つの指標 消費税増税前に駆け込み購入すべき?」>

◇平賀 功一(ひらが・こういち)
住宅コンサルタント
第一不動産グループの住宅販売会社でマンション販売を経験後、1999年に独立し、e住まい探しドットコムを設立。公平・中立をモットーに、第三者(セカンドオピニオン)の立場で住宅取得検討者へのコンサルティングを行うほか、セミナー講師や各種媒体へのコラム執筆にも従事している。

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