「高すぎるマンション」はいつ買うか?五輪、低金利、消費増税…敏腕住宅コンサルの結論は?

2019年はマンションの買い時で最も悩ましい年です。マンション価格が高止まりする中、10月には消費税増税が控えています。20年東京五輪後には価格が下がると言われていますが、住宅ローン金利の先行きも不透明。「今買うのは損だ」とか、「買うなら増税前に駆け込め」とか、色々な意見がありますが、果たしてどれが正しいのでしょうか?(住宅コンサルタント 平賀功一)

<関連記事「マンションの買い時を見極める5つの指標 消費税増税前に駆け込み購入すべき?」>

マンションの買い時はいつ?住宅コンサルタントの結論は?

早速、結論から述べましょう。

「消費税増税前に駆け込み購入する必要はありません」

そして、

「2020年東京五輪後にマンション価格が急落するとも思えません」

では、これからその根拠とマンションの買い時の正しい見極め方について解説していきます。

住宅ローンの「借り時」は当面続く

ではまず、「消費税増税前に駆け込み購入すべきではない」とする理由から説明します。

もっとも見通しやすい住宅ローン金利のゆくえから検証しましょう。全期間固定型住宅ローン「フラット35」の3月の金利(融資率9割以下の最頻出金利)は、1.27%となり、4カ月連続で下落しました。日本の長期金利がマイナス圏にあるのが一因と考えられます。

日銀は現在、物価安定目標2%を掲げ、その実現のために年間およそ80兆円の国債を買い続けています。16年1月にはマイナス金利政策を始め、同年9月にはイールドカーブ・コントロールも導入しました。直接的に長期金利に働きかけ、金利低下を促そうという狙いです。条件を消費者物価の実績にひも付け、より強い金融緩和効果を追求してきました。

その日銀は、消費者物価を19年はプラス1.1%、20年はプラス1.5%と予想しています(19年1月時点)。つまり、目標のプラス2%を達成できそうもなく、21年以降も「異次元緩和」を継続することを暗示しているわけです。

長期金利の低下は米国でも起こっており、金融政策の修正観測が一因と考えられます。米国は堅調な雇用や安定的な所得の伸びなどを背景に、内需主導の景気拡大が続くとみられています。しかし、米中の通商交渉に対する不透明感は払拭できず、金融当局(FRB)は金融政策の引き締め(利上げ)スピードを鈍化させようとしています。景気に対する下振れリスクを意識し始めており、状況に応じては利上げの打ち止めも視野に入れています。

このように、日米そろって長期金利には上昇の抑止力が働いています。そのため、日本では住宅ローン金利の先高観は見られません。現在の金融政策が大幅に見直されない限り、長期金利が上昇し続ける可能性はゼロに等しいといえるでしょう。日銀・黒田総裁の任期は23年4月までです。消費増税の前後にかかわりなく、住宅ローンの「借り時」は当面、続きます。

消費税増税前後の「損得」は発生しない

今度は住宅税制を見てみましょう。注目を集めた住宅ローン減税は、19年度税制改正大綱で適用期間の3年延長が決まりました。控除を受けられる期間が現行の10年から13年へと延びます。その恩恵を受けられるのは、以下の(1)~(3)の条件すべてを満たす人です。

(1)消費税率10%が適用された住宅を取得する
(2)住宅ローンを組む
(3)19年10月1日から20年12月31日までの間に、その者の居住の用に供する

ここで、しばしば俎上(そじょう)に挙がるのが「住宅ローン減税は損か得か」といった“そろばん勘定”です。予定通り消費増税が実施され、住宅価格に2%分が上乗せされても、それ以上に改正された住宅ローン減税による控除額が多ければ「得」、逆に少なければ「損」といった皮算用が各所で散見されます。

確かに、誰だって少しでも有利に売買したいものです。気持ちはよく分かります。ただ、税制改正大綱の趣旨からすると、仕組み上、損にも得にもなりません。延長される3年間(適用期間11年目~13年目)の各年の控除額が、下記の(イ)(ロ)いずれか小さい額だからです。

(イ)建物購入価格(4000万円を限度)×2%÷3
(ロ)住宅借入金等の年末残高(4000万円を限度)×1%

つまり、「2%増税分」=「住宅ローン減税による減税分」と考えるべきなのです。

周知の通り、消費税が課税されるのは建物だけ(土地は非課税)です。その建物に課税される消費税の増税2%分を、住宅ローン減税の税額控除によって“相殺しよう”というのが税制改正の狙いです。

ではなぜ、建物購入価格×「2%」なのか?どうして「÷3」なのか?

それは、消費税が 8%から10%へと引き上げられた利上げ率「2%」を根拠とし、延長した3年分の控除額を各年で等分するために「÷3」としているのです。増税による負担分を税額控除で割り戻そうという仕組みであることがお分かりいただけるでしょうか。

もちろん、個別のケースでは損得が生じることもあります。しかし、制度設計上は「プラス・マイナス・ゼロ」です。住宅ローン減税が適用されない現金購入者を除けば、増税の前後による住宅ローン減税の損得は発生しません。

ちなみに、実際に還付金(延長分)が受け取れるのは“10年後”であることを忘れずに。過度な期待はしないに越したことはありません。

「東京五輪後にマンション価格が暴落」はウソ?

ページ:

1

2

月間人気記事ランキング

  1. 登録されている記事はございません。

連載・特集

松下幸之助

PR

  1. EnCube(インキューブ)の効果は嘘?日本人が英語を話せない本当の理由
  2. 「転職させない」転職エージェントが考える真のキャリアアップとは?
  3. もしドラ 村瀬弘介 もし現代の経営相談をドラッカーが受けたら

《絶賛販売中!》Soysauce Magazine 創刊号

ソイソースマガジンオンライン
PAGE TOP