日本企業のイノベーションを阻害する犯人の正体は?「企業体質」「日本人気質」のせいにするな!

イノベーションの可能性を摘み取るアベノミクスの大罪

アベノミクスは経済成長政策ではなく、「金融抑圧政策」と言えます。金利をゼロにして、「財政破綻」を先送りにする。デフレを脱却し、年率2%のインフレを目指すというのは「嘘」であり、そうなったら困るのは、政府と官僚たち自身です。

しかし、彼らはこの「本当の目的」を隠すために、量的緩和により、株式市場に公的資金を投入しました。日銀が年6兆円規模でETFを購入し、GPIFなどが株を買い支え、それに円安が加わる。そうすると企業系はどうなるでしょうか?

経営者は、成長よりも単に存続を目指すだけになります。この6年間で、日本企業の劣化は著しく進みました。アベノミクスは、日本企業からイノベーションを奪った真犯人だったのです。

「400万社」がイノベーションを起こす可能性

世界は「AI」「5G」「自動運転車」「バイオ」「グリーンエネルギー」で加速度的に動いています。しかし、安倍政権はいまもなお、成長戦略として、「原発輸出」「カジノ」「五輪開催」「万博開催」などを提唱しています。

平成がもうじき終わります。思えば平成の30年間は、日本企業が凋落を続けた時代でした。半導体、液晶、PC、携帯、家電、ほぼ全滅です。PCを例に取れば、昔は東芝が『dynabook』、富士通が『FMV』、NECが『LAVIE』、ソニーが『VAIO』を出していましたが、いま日本のPCと言えるのはパナソニックの『Let’s note』くらいしかありません。

現在、日本には約400万の企業があります。そのうち半分が個人企業で、もう半分が法人です。この400万のうち、99.7%は中小企業で、大手企業は0.3%ほどに過ぎません。

この構造は、イノベーションを起こすには十分な環境です。400万社の中には、数多くのインベーションを起こす人材が眠っていると言えるのです。

しかし、彼らの挑戦をアベノミクスが阻止しています。そのため現在の日本は、人材流出国になっています。優秀な人材から、「GAFA」などの世界的なイノベーション企業に流れてしまっているのです。

日本企業も日本人も、本来はイノベーティブな存在です。間違った分析、言論に流されて萎縮せず、どうか明日を目指してがんばってほしいと思います。

◇山田 順(やまだ・じゅん)
作家、ジャーナリスト、出版プロデューサー。
1952年横浜市生まれ。元光文社ペーパーバックス編集長。メディア、経済、ビジネスを中心に執筆活動中。主な著書は『資産フライト』(文春新書)、『新聞・出版 絶望未来』(東洋経済新報社)、『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)。近著は『東京「近未来」年表』(さくら舎)。

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