日本企業のイノベーションを阻害する犯人の正体は?「企業体質」「日本人気質」のせいにするな!

「なぜ日本ではイノベーションが起きないのか?」ということがさかんに言われています。アナリストや専門家は、「日本企業の体質」や「日本人の気質」に原因があると指摘していますが、それは嘘です。そこにはもっと根深い問題が存在します。(ジャーナリスト 山田順)

日本ではなぜイノベーションが起きないのか?

日本経済の衰退が止まりません。7日に内閣府が発表した1月の景気動向指数は、大幅に悪化に転じました。昨年後半から日本の輸出は減少を続けていて、毎月、前年比割れを記録しています。日本企業の力は日々、衰えているのです。

そこで繰り返し言われているのが、「日本ではなぜイノベーションが起きないのか?」ということです。「GAFA」のようなイノベーションを起こす世界的な大企業が、このところ日本からは出ていません。

なぜ、こうなってしまったのでしょうか?

アナリストや専門家は、だいたい以下のような原因を挙げています。

・「日本人は地道にコツコツと改良を続けて高品質なモノをつくるのは得意だが、基本的にリスクを取ろうとしない」
・「いまだに世界第3位の経済大国なので、国内市場のみでビジネスが成立する。だから新しいことに挑戦しようとしない。イノベーションを起こす差し迫った必要性を持っていない」
・「大企業は『一括採用」『年功序列」であり、社内でイノベーションを起こしても『抜擢人事」はなく、『成功報酬」も得られない。反対に、落ちこぼれ社員であってもクビになることはなく、年功で出世ができるシステムになっている。これでは、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのような人間が出てくるわけがない』

しかし、こうした見方は間違っていると思います。「イノベーションを起こす」「新しいことに挑戦する」というマインドを、本来、日本人は持っているからです。

本来はイノベーティブなはずの日本人

1970~80年代の日本企業の全盛期は、イノベーションへの強いマインドを持つ人々によってつくられました。ソニーやシャープ、ホンダなどの隆盛を見れば、それは明らかです。

明治時代までさかのぼって見ても、日本人は進取の気質にあふれていました。貪欲に西洋文明を取り入れ、あらゆることに挑戦したではありませんか。

とすれば、現在の日本経済の低迷を招いたのは、人口減や少子高齢化という要素を除けば、政府の経済政策の失敗以外にありません。企業が傾くと公的援助を行い、企業をどんどん弱体化させました。規制の強化は企業活動の自由も奪いました。歴代の日本政府と官僚が、日本企業の成長を阻止してきたのです。

そもそも官僚というのは、好景気が嫌いな生き物です。なぜなら、好景気になると、イノベーションを起こして新しく富裕層になる「ヒーロー」が出現するからです。

苦しい受験勉強をして東大を出て官僚になったのに、そうした新時代のヒーローに比べたら、自分たちは惨めなものです。だから彼らは好景気を憎みます。日本経済のピークとされた「バブル景気」は、官僚たちの嫉妬心によって潰され、日本は「失われた30年」に突入しました。

その仕上げが、アベノミクスです。

日本企業がイノベーションを起こす可能性は?➡

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