【アドバンスト・メディア会長 鈴木清幸】「GAFA」を超える企業のつくり方

顧客を「つくる」ことへの挑戦

松室:最近はブルートゥースイヤホンで歩きながら電話している人もものすごく増えましたよね。

鈴木:それが「文化」なんです。いまは「働き方改革」の波が来ていまして、議事録も医療も、音声認識を使ったサービスの利用が一気に広がっています。たとえば東京都議会。私たちの議事録作成支援システムの採用でこれまで1週間以上かかっていた議事録の作成が1日でできるようになった。病院でも、カルテ作りを音声認識でできるようになり、残業時間やコスト削減につなげることができた。こうした時代の波は今後もますます広がっていくことでしょう。

松室:経営者目線ではどのようなことに気を配っていますか?

鈴木:私たちはこの5年間で従来の音声認識(ASR)ビジネスを超音声認識(BSR:Beyond Speech Recognition)ビジネスに進化させてきました。そして、2017年度を起点としたBSR3x3を公表しています。これは、「導入期」「展開期」「拡大期」と3年ずつでBSRを進化させるものです。それぞれの3年間で売上を2倍にする。そうすると、2倍、2倍、2倍で8倍になります。この時点での営業利益率30%を目指すという目標設定をしてます。

松室:今後はどういう分野が伸びてきそうですか。

鈴木:私は予言者ではありませんが、100%当たります。理由は、私が未来を「つくる」人間だからです。

従来のビジネスは、最高のモノを作って売るというやり方でした。でもこれは長続きしない。私が進めているのは、すぐにβ版を作って、まず使ってもらう。そして、お客様ととともに使える「製品」にしていくことです。導入段階から使い続けることで、次第になくてはならないものに変わっていきます。そこから「継続」というストックになっていく。一つの製品を次から次へとデビューさせていき、ストックが積み上げていくと、目標としている売上200億円の世界が見えてきます。

これまでの22年間は、音声認識という「文化」がない中で、顧客を一生懸命探してきた。でもこれからは違います。顧客を「つくる」んです。顧客を「探す」ことから「つくる」ことへシフトしなければなりません。

22年間やってきてたことが、最近やっと見える形になってきました。これからは、それをさらに顕在化させていきたいですね。

【松室顧問の取材後記】
鈴木さんは有言実行の人である。音声認識がまだ広まっていない時期から常に視点を未来において、「こうなる」と私たち取材者に語りかけてきた。それがここ数年で一気に開いてきたのは、鈴木さんの真骨頂である。しかもどんなに市場が冷え込んでいて業績がついてこない時期にあっても常に前向きに未来を見つめ、平然としていた。元々はAIの研究者であるその鈴木さんがシンギュラリティはないと断言した。わたしは信じよう。

◇鈴木 清幸(すずき・きよゆき)
1952年、愛知県生まれ。
京都大学大学院工学研究科化学工学専攻博士課程中退。78年、東洋エンジニアリング入社。インテリジェントテクノロジーへ転職後、米国カーネギーグループ主催の知識工学エンジニア養成プログラム(KECP)を修了。97年にアドバンスト・メディアを設立。05年に東証マザーズ上場。10年に代表取締役会長兼社長に就任。

◇松室 哲生(まつむろ・てつお)
元『週刊ダイヤモンド』編集長。ダイヤモンド社代表取締役専務を経て2004年に独立。取材などで1万人以上の経営者と会い、生前のピーター・ドラッカーにインタビューした数少ないジャーナリストの1人。著書に「極秘資金」(小説:講談社刊)、「おもろい会社研究」(日本経済新聞出版社刊)など。

photo by Yasuhiro Takeda

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