個人商店や小型飲食店を始め、上場企業や地方自治体クラスまで、SNSの企業アカウントを運営する会社や組織は珍しくありません。しかし、コミュニケーションの前面に立つ、いわゆる「SNSの中の人」のレベルは、まだ低いと感じています。「インフルエンサー」と言われる個人レベルの人たちが次々と生まれてくる一方で、歴史やブランドという独自の「コンテンツ」を持ちながら、発信力の弱い会社があるのはなぜでしょうか?
SNSの企業アカウントで集客する方法
自治体や企業の大小を問わず、「情報発信するための『コンテンツ』と『ツール』はあるものの、SNSの発信力が弱い」という「お悩み」をしばしば耳にします。これを解決するには、SNSアカウントをどんな目的で取得したのか、運営する皆さん自身がはっきりと意識する必要があります。
「自社の広報をしたい」「集客に繋げたい」というビジネス的な視点でSNSを活用しているのなら、次の3点を特に意識してみましょう。
①伝えるべきことの整理
【失敗事例】鉄板焼きのお店を開店したオーナー
お店のFacebookページを開設したのですが、コンテンツが「お客様とのキャンプ」や「従業員とのリクリエーション」など、完全に私信になってしまっていました。
個人店舗なので、オーナーの「技術」「感性」「個性」などをお店の特色としてある程度出すのは良いのですが、あまりオーナーのプライベートな活動を店舗ページで発信すると、「常連感」や「身内感」といったイメージが店舗に付きすぎて、一般客の集客面ではかえってマイナスです。
店舗ページはあくまでも、お店を「広報」して「集客」するツールとして使用するのが本来の目的です。もっとメニューやサービスについて、読者が関心を持てる情報を発信するべきです。
未来店客(潜在顧客)にお店を知ってもらい、食べたくなる、お店に行きたくなるような投稿を常に意識することが大切です。また、オーナーの個人ページと上手に投稿を切り分けると、相乗効果も期待できます。
②ターゲット客層の明確化
【成功事例】美容院オーナー
この美容院のオーナーさんは、ターゲットとする客層がはっきりしていました。
(ターゲット客層)
女性、20〜40代、美容院の近くに在住、在勤のOL
このターゲット層の場合はまず、匿名性が低く、限定エリアでの接触性が高いFacebookと、ヴィジュアルに強く、ファッション性の高い投稿の多いInstagramをメインに運用。品の良い告知を広く行い、来店客へのリピート促進のために「LINE@」も導入しました。
ターゲットとする客層が一番馴染みやすいSNSから導入線を作り、顧客を囲い込むのに有効な「LINE@」でダイレクトにやり取りをする、という「顧客獲得→育成」の流れを構築することに成功しています。
③最適なSNSの選択
②とも連携するのですが、各SNSの特徴を理解し、自分の伝えたいターゲットによってコンテンツ内容やコミュニケーション方法を吟味して情報発信します。
各SNS利用層の特徴は以下の通りです。
Facebook:40~60代の男性利用者率が女性利用者率より高い
Twitter:利用層は広いが、若年層の利用率が高い。30~40代の男性利用者率が女性利用者率より高い
Instagram:10~30代の女性の利用率が高い
LINE:年齢層は幅広く、男女差もあまりない
「拡散性」の面では、投稿を気軽にリツイートできるTwitterが一番で、Facebookでも「シェア」などで拡散の期待ができます。LINEは拡散性が低く、どちらかというと対面感覚での集客に使います。
SNSは、自分たちが「目的」を達成するための一つのツール、手段です。現在は情報発信をするチャンネルが急増していて、発信者サイドも情報の受け手もオーバーフロー気味です。「どのSNSを、どう活用するのが効果的か?」という問いかけを常に忘れずに、自社のSNS運用について「PDCA」を継続して回すことが大切です。
◇浦山 寧子 ウラヤマ ヤスコ
Office Unite☆ Unit(オフィス ユナイト ユニット) 代表
1969年生まれ。広島県呉市在住。取材執筆&編集、ライター。新聞やタウン誌の編集や記者を経て、デジタル媒体へ。
FBページの構築&コンサル、企業PR、イベント企画など。SNSエキスパート上級。フードアナリスト。
中小企業庁の専門家「ミラサポ」専門家や創業サポーターなど、行政の仕事も。自主運営するオウンドディア「KUREP」編集長。