マスコミが報じない「5つ」の統計が示す大不況へのカウントダウン

②貿易統計

日本の不況のシグナルとも言える「貿易統計」が悪化しています。1月23日に財務省が発表した18年の貿易統計(速報、通関ベース)によると、貿易収支は1兆2033億円の赤字でした。赤字は実に3年ぶりのことです。

これは、日本最大の貿易相手国である中国向け輸出が、中国の不況の影響をもろに受けて大幅に落ち込んだからで す。通信機器、半導体、電気回路など、日本の“最後の砦”とも言える部品産業関連の落ち込みが目立ちます。

アジア圏全体でも、輸出が6.9%、輸入が2.9%減少しました。これが続けば、日本企業の業績は悪化する一方です。

③百貨店、スーパーマーケット売上

日本のGDPの6割を支える国内消費が冴えません。日本百貨店協会が1月に発表した18年の全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年比0.8%減と、2年ぶりのマイナスを記録しています。

インバウンド(訪日外国人)によって伸びてきた百貨店売上。しかし、昨年は訪日外国人数は増えたものの、1人あたりの消費額が減りました。すでに中国人の「爆買い」は終了し、訪日外国人も富裕層から一般層に移っています。訪日外国人数が増えても、落とすおカネが増えなければ、設備投資は回収できません。今後、日本の観光地は疲弊していくだけになるでしょう。

スーパーマーケットも3年連続のマイナスです。日本チェーンストア協会が1月に発表した18年のスーパー売上高は、既存店ベースでは前年比0.2%減とマイナスを記録しています。とくに12月単月は1兆2941億円の0.7%減と、大幅なマイナスでした。

④マンション発売戸数

不況到来をはっきり告げるのが、マンションバブルの崩壊です。都内では東京五輪を当て込み、マンションバブルが続いてきました。不動産経済研究所の発表によると、18年の首都圏のマンション発売戸数は前年比3.4%増の3万7132戸に達しました。

しかし、発売月に契約が成立した物件の比率は、前年から6.0ポイントもダウンした62.1%。成約率は7割が目安とされるので、いまやマンションはダブつき、価格暴落の一歩手前と言っていいのです。

⑤コンビニ売上、新車販売数

ここまでマイナス数値ばかりを紹介してきましたが、プラス数値だってあります。その一つがコンビニ売上です。1月に日本フランチャイズチェーン協会が発表した主要コンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで前年比0.6%増の9兆7244億円でした。百貨店、スーパーは落ち込んでも、コンビニの業績は好調です。ただし、これは店舗数増とパラレルなのを忘れてはなりません。

プラス数値の中で最大の注目は、新車販売数です。日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会の発表によると、18年の新車販売数は前年比0.7%増の527万2067台と、2年連続の増加を記録しました。

しかし、肝心な中身を見ると、最大のプラス要因は軽自動車の人気でした。軽は前年比4.4%増の192万4124台と、過去5番目に高い伸び率となったのです。ところがその一方で、普通・小型車は1.3%減の334万7943台と落ち込んでいます。

どこに行くにも燃費が抑えられる軽自動車に乗り、百貨店やスーパーではなく、近所のコンビニで日常品、食料をちまちまと買う。こうした日本人の不況ライフスタイルが、日毎に定着していることが分かります。

株価も円も、不動産も上がらない

ここまで5つの統計数値を見てきましたが、今後、いま以上に不況になるのは間違いありません。すでに上場企業の3月期決算が、大幅な減益になることははっきりしています。

もはや、異次元緩和も株価操作も、限界に達しようとしています。なにかキッカケがあれば、激しいインフレが襲ってくることでしょう。しかし、偽装しなければならないほど低迷してきた賃金が、いまさら上がるわけがありません。

世界的な優良企業でさえ、賃上げはしていないのが実情です。Amazonがその典型ですが、グローバル競争の激化で、IT化やロボット化、AI化によって血眼になってコストカットをしているのですから、従業員の給料が上がるわけがないのです。

株価も円も上がりません。不動産も同じです。経済が低迷していくのに、その国の株価、為替、不動産が上がるわけがありません。不動産や株などの国内投資はまったくの無意味ですし、貯金は目減りするだけです。もちろん不動産は、絶対に買ってはいけません。

あとは、どうか自分のアタマで考えてください。不況でもチャンスは必ずあります。それを見つけられるのは、いつの時代も自分のアタマで考えた人間だけなのです。

◇山田 順(やまだ・じゅん)
作家、ジャーナリスト、出版プロデューサー。
1952年横浜市生まれ。元光文社ペーパーバックス編集長。メディア、経済、ビジネスを中心に執筆活動中。主な著書は『資産フライト』(文春新書)、『新聞・出版 絶望未来』(東洋経済新報社)、『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)。近著は『東京「近未来」年表』(さくら舎)。

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