ベンチャー企業が2019年こそ新卒採用を強化しなければならない理由

新卒採用に乗り出すベンチャー企業は、「ウチは大手の採用が終わってから…」と消極的な姿勢で臨みがちです。しかし、2018年はその採用戦略で失敗、散々な結果に終わってしまった企業が続出しました。実績や知名度で劣るベンチャー企業だからは今だからこそ、果敢に、そして戦略的に新卒の採用を狙っていかなければならないのです。(就活支援コンサルタント 小澤明人)

2018年は採用環境が激変!ベンチャー企業は今年こそ新卒採用の強化を!

ベンチャー企業に限らず、新卒採用を考える上で、今やっておかなければならないことがあります。それは、雇用環境や人材マーケット全体の動向を包括的に見て、「新卒採用の立ち位置」を明確にし、それを社内全体でしっかりと共有しておくことです。

2018年は、まさに今後の採用活動のターニングポイントとなるであろう1年でした。

まずはいわゆる「2018年問題」。有期契約5年ルール、派遣3年ルールの施策によって、正社員の有効求人倍率は史上初めて1.00倍を超えました。一方では、「雇い止め」も多く発生。正社員への転換につまづく非正規労働者の就労が、今後の大きな課題となります。

また、メガバンクを始めとする大手企業が続々と「人員削減」を発表しました。好調な求人マーケットとRPA、AIの導入によるビジネスモデルの転換などを背景に、余剰人員の削減へ歩み始めたのです。

ほかにも「働き方改革関連法」が可決されて話題となりましたし、経団連による「就活ルール廃止」も大きな議論を呼びました。さらには、しばらく踊り場だった18歳人口が、2018年を起点に一気に減少へと向かう「もう一つの2018年問題」も取り沙汰されました。

ざっと考えても、これだけの雇用環境の変化が交錯していることをまず理解しなければなりません。

ここで、貴社の10年後の社員構成を考えてみてください。

新卒が減り、労働人口そのものが高齢化します。外国人に依存しなければ回らなくなる企業もあるでしょう。そう考えると、「今、売り手市場だから」と即戦力重視の一時的な対症療法ばかりで済ませてしまうことは、大きな問題だと言えるのです。

ベンチャー企業であっても、今こそ本気で、新卒採用の強化を図るべきです。少なくともここからの数年間、若手社員の「採用と定着」には、戦略的に取り組む必要があるでしょう。

女子大生の就活、その変化を見逃すな!

ご存知の通り、「就活ルール」は既に形骸化し、2019年新卒の大学生の内定率は、前年比で毎月5~10%ほど高く推移してきました。実は、ここで見逃してはならないデータがあります。それは、男女の内定率の再逆転です。

ここ数年、女子の内定率が男子を上回っていましたが、2019年新卒の夏から秋にかけては、この数字が再逆転したのです。メガバンクを始めとする「RPA導入による一般職削減」への戸惑いが女子学生の就活を慎重にさせ、そのまま数字に表れたと言えるでしょう。

ましてや従業員5,000人以上の企業の求人倍率は0.37倍(リクルートワークス研究所)と、年々下落している現状があります。つまり、ベンチャー企業や中小企業からすれば、一般事務職志望だった女子に向けて職種転換の道を丁寧に薦めていくことが、一つの大切な採用戦略になるのです。就活支援の現場では総合職・営業職志望の女子の声もかなり増えてきました。「私にも出来る仕事」と視野を広げられる採用活動を是非進めてみてください。

新卒には響かない「ベンチャー」の呼称

「ベンチャー」とは元々、「冒険」という意味です。ハイリスク・ハイリターンの投機的イメージが染み付いています。それを良しとする学生だけを採用したいのなら、ベンチャーである利点を前面に出すのも一つの方法でしょう。

しかし、現代学生の就労観は、想像以上に「安定志向」です。ベンチャー企業への就職に対し、イエスかノーかの答えははっきりと分かれます。企業によっては優秀な新卒を確保するために、「ベンチャー」という呼称を外すことも検討する必要があります。

バブル崩壊から30年。社会も徐々に変化し、「若いうちから稼ぎたい!」と答える学生も一定数は存在します。しかし、元々は「バブル世代」の保護者の元で育まれた「大手志向」です。企業によっては、「ベンチャー企業」の呼称をはずして、「社会のニーズにしっかりと応えている企業」という自社の強みを前面に出す戦略も有効でしょう。したがって、求人広告やHP、会社説明会などで自社を紹介する際の「言葉選び」にも、細心の注意が必要です。

ベンチャー企業の新卒採用はインターンシップに活路を見い出せ!

「インターンシップ元年」――。私たちは2018年をそう呼んでいました。これまで「5日以上」と定めていた経団連の日数規定がなくなり、ワンデーインターンシップが解禁されたからです。

紆余曲折の末、ようやく本格始動したと言ったところでしょうか。日本企業のインターンシップは欧米と比べるとまだまだこれからですが、今だからこそ差別化が図れるチャンスでもあります。

特に歴史が浅いベンチャー企業であれば、カタチだけのワンデーのお見合いではなく、自社の「人」、業界の「未来」、共感できる「志」を魅力的に披露しなければなりません。大手企業にも勝る「未来の仕事の面白さ」を十分に体験できるインターンシップを演出して、若者の就労観に火を点けてください。

ちなみに、インターンシップは就職サイト経由の自由応募だけでなく、大学経由でも「正課内・正課外」の2種類があります。前者は単位を付与するインターンシップで、後者は大学が広報・受付窓口になるインターンシップです。ベンチャー企業は大学訪問を積極的に行い、まずは正課外インターンシップの一つに加えて貰うこともお薦めします。

◇小澤 明人(おざわ・あきひと)
1958年、東京生まれ。リッチピクチャーズ就活プロモーショングループプロデューサー。長年企業研修やビジネススクールの運営に携わり、日本初の「就活サポートセンター」を設立。学生や求職者の視点に立った就活指導が好評で、全国の大学や官公庁、自治体などで就活セミナーや人事担当者向け採用セミナーを開催している。愛称は「ヒゲ教授」。著書に「ヒゲ教授の辛口就活対策本部」(雇用開発センター)など。

月間人気記事ランキング

連載・特集

松下幸之助

PR

  1. EnCube(インキューブ)の効果は嘘?日本人が英語を話せない本当の理由
  2. 「転職させない」転職エージェントが考える真のキャリアアップとは?
  3. もしドラ 村瀬弘介 もし現代の経営相談をドラッカーが受けたら

《絶賛販売中!》Soysauce Magazine 創刊号

ソイソースマガジンオンライン
PAGE TOP