「部下が使えない」はあなたのせい?劇的に変わる「指示出し」3つのコツ

部下が「使えない」のはあなたの指示のせい

「部下が言ったとおりに動かない」「部下のミスが多い」――。そんな上司のグチを聞く機会は少なくありません。その多くが「部下の能力不足」や「部下の怠慢」を原因と考えているフシがありますが、果たして本当にそうでしょうか?もしかしたら部下が期待どおりに動かないのは、あなたの伝え方に問題があるからなのかもしれません。(伝える力【話す・書く】研究所所長 山口拓朗)

「使えない」部下の動きを劇的に変える「指示出し」3つのコツ

多くの上司が「うちの部下は使えない」とグチをこぼしていますが、試しに部下の言い分に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?

「上司の話がわかりにくい」
「上司の指示があいまいだ」

こんな不平や不満が次々と聞こえてくるのが現実です。そう。部下が上司の期待どおりのパフォーマンスを見せないのは、部下の能力ややる気のせいではなく、上司であるあなたの伝え方に問題があるのです。

では、連絡や指示、依頼など、上司が部下に何かを伝えるときには、どのような点に気をつければいいのでしょうか?ここでは3つのポイントをお伝えします。

①部下への指示には「数字」と「固有名詞」を入れる

上司が心がけるべき伝え方のひとつが、「具体的に話す」ということです。多くの上司が、部下に対して「言わなくてもわかるだろう」という安易な気持ちを持っているようです。その気持ちが災いし、伝えるときに重要な情報を割愛してしまうのです。

相手がどれほど能力のある部下であっても、口で正確に伝えなければ意図は伝わりませんし、理解してくれません。「以心伝心」や「阿吽の呼吸」をビジネスシーンに求めてはいけないのです。

【伝え方①:部下が嫌う伝え方】
「竹下!明日は予定どおりお願いな。資料は少し多めに頼む」
【伝え方②:部下が好む伝え方】
「竹下!明日の販促会議は、予定どおり11時からA会議室で。プロジェクトCのプラン資料を、少し多めに……そうだな、30部コピーしておくように。よろしく頼むな」

もしあなたが部下の立場だった場合、ミスなく動けるのはどちらの伝え方でしょうか?言うまでもなく、伝え方②でしょう。伝え方①と②の違いは、ずばり具体性です。①が「あいまい」な伝え方であるのに対し、②はより具体的な指示の伝え方となっています。

具体的に指示を伝えるポイントは、「数字」と「固有名詞」を入れることです。②では、「11時」「30部」などの具体的な数字、そして、「販促会議」「A会議室」「プロジェクトCのプラン資料」などの固有名詞を使っています。具体的な言葉で伝えることで、部下が誤解するリスクを減らしているのです。

②部下には「行動内容」だけでなく「目的」も一緒に伝える

上司が部下への指示出しで心がけるべきポイントの二つ目は、「目的を伝える」ということです。あなたが部下に指示を出す際、「行動内容」だけを伝えて、“なぜ、それをするのか?”という「目的」を伝えないケースはありませんか?

上司の立場では、「目的は当然わかっているだろう」「こっちの意図を察してくれ」と考えているのかもしれませんが、その考えこそがコミュニケーション不全の元凶です。もしかしたら、部下は目的をわかっていない、あるいは、勘違いしているのかもしれません。いい意味で「部下を信じすぎないこと」が大切です。

たとえば、商品試食会のモニターを集めるときに、部下に指示を出したとします。

【伝え方①:部下のミスが起きやすい伝え方】
「来月5日に商品Zの試食会を開くから、消費者モニターを30名集めておくように」
【伝え方②:部下がミスしにくい伝え方】
「来月5日に商品Zの試食会を開くから、消費者モニターを30名集めておくように。今回の試食会の目的は、商品Zが男女のどちらにうけがいいのか、また、20〜40代のどの年代層にうけるのか、具体的な数字を取ることだ。その点に考慮して人選をするように」

伝え方①の場合、部下は良かれと思って主婦層を中心にモニターを集めてしまうかもしれません。一方、明確な目的を伝えた②であれば、部下は、モニターの男女比を半々にし、なおかつ、20代、30代、40代をバランスよく集める、という行動をとるのではないでしょうか。

このように、目的を明確に示すことで、部下の行動は大きく変化します。万が一、試食会の当日、30代の男性が1名キャンセルしてきたら、急募すべきモニターは30代の男性1名ですね?上司が部下に目的をしっかりと伝えておけば、部下は主体的かつ的確に行動できるようになり、トラブルにも対応しやすくなるのです。

くり返しになりますが、行動内容の指示だけでは、部下は「指示に従うこと」が目的となってしまうため、自分の頭で考えなくなります。それでは、機動力のある仕事や、生産性の高い仕事はのぞめません。

③部下には「たとえば」を使って具体例を伝える

上司が心がけるポイントの三つ目は、「『たとえば』を使って話す」ということです。「たとえば」は、具体例を導くための魔法のキーワードです。部下の理解度もグッと高まります。「たとえば」を多用する上司ほど、部下に好印象をもたれているはずです。

【伝え方①:「たとえば」を使わない伝え方】
「このサービスを広めるためには、プロモーションに工夫を凝らす必要がある」
【伝え方②:「たとえば」を使う伝え方】
「このサービスを広めるためには、プロモーションに工夫を凝らす必要がある。たとえば、着工から竣工までを3分程度の動画にまとめてYouTubeにアップして、さらに、住宅系のポータルサイトにその動画を掲載するのも一案だ」

伝え方①では、「プロモーションに工夫を凝らす」ことの具体的なイメージが見えてきません。マスメディアへの広告出稿や、折込チラシ、展示会への出店、サンプル提供、DM送付など、イメージするプロモーション活動は部下によって違うものかもしれません。

一方、伝え方②では、「たとえば」以降の文章で、上司がイメージするプロモーションを明確に示しています。部下にとっては「なるほど。そういうプロモーションを考えているのか」と理解しやすいはずです。

上司の説明が抽象的すぎたり、概念的すぎたりした場合、部下はその意図や狙い、真意をつかむのに苦労を強いられます。部下に説明やアイデアを伝えるときは、「たとえば」を駆使して、具体例を示すようにしましょう。

「指示出し」3つのコツで「使えない」部下も確実に変わる!

上司であるあなたの伝え方が悪ければ、部下の仕事効率や生産性が下がります。その結果、最終的に困るのはあなた自身ではないでしょうか?ましてやその原因を「部下が使えないから」と押し付けているようでは、いつまで経っても一人前の「上司」にはなれません。

仕事がデキる上司は、部下がサクサク動くよう、いつでも伝え方に工夫を凝らしています。もちろん、間違っても部下に首を傾げられたり、誤解されたり、不満をもたれたりするような伝え方はしません。

この記事を読んで「自分は伝えベタかもしれない」と思った方は、ご安心ください。<「数字」や「固有名詞」で伝える><「行動内容」だけでなく「目的」を伝える><「たとえば」で具体例を伝える>の3点を意識するだけで、伝え方が格段にうまくなり、部下の動きにも劇的な変化が生まれるはずです。さっそくきょうから実践してみましょう。

◇山口 拓朗(やまぐち・たくろう)ビジネスメール
伝える力【話す・書く】研究所所長。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。22年間で3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて「好意と信頼を獲得するメールの書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』(日本実業出版社)、『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』(明日香出版社)など国内外で20冊以上。

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