飲食店従業員による「不適切動画」がSNS上で炎上する不祥事が止まりません。飲食店に限らず、多くの企業で貴重な戦力として雇用されているアルバイト。SNS上での炎上が与える企業イメージへのダメージは計り知れないだけに、アルバイトのネットリテラシー教育は企業として大きな課題の一つです。企業側はどのような対策を講じれば良いのでしょうか?専門家に分析してもらいました。(Soysauce Magazine Online編集部)
すき家、くら寿司…止まらない従業員によるSNSの「不適切動画炎上」
アルバイト店員のSNS投稿での「不適切動画」を巡る企業不祥事が相次いでいます。今年に入ってからだけでも、牛丼チェーン「すき家」のアルバイト店員が店内で氷を投げたり、回転寿司チェーン「くら寿司」のアルバイト店員がゴミ箱に入れた生魚をまな板に戻したり、カラオケチェーン「ビッグエコー」の店員が唐揚げを床に擦り付けたりと、飲食店従業員としてあるまじき行為を撮影した動画が次々にSNS上に投稿され、炎上しています。
もはや社会問題とも言えるアルバイトによる不適切動画の炎上。SNS、特にTwitterが普及し始めた2010年頃から目立つようになり、その都度企業側が責任を取る形で謝罪に追い込まれていますが、残念ながら同じような不祥事が繰り返されてしまっています。
13年には東京・足立区のステーキチェーン「ブロンコビリー」で、アルバイトがキッチンの大型冷蔵庫に入り込む様子を撮影した画像をTwitterに投稿したことをきっかけに炎上。店が閉店に追い込まれる事態にもなりました。
問題になるのは飲食店だけではありません。11年にはウェスティンホテル東京のアルバイトが、サッカーの稲本潤一選手とモデルの田中美保さんによる「密会デート」の一部始終をTwitterで暴露。高級ホテルが客のプライバシーをないがしろにする行為に、世間からの批判が殺到しました。
なぜ従業員のSNS「炎上」は起きてしまうのか?
これだけ問題となっているのに、なぜアルバイトのSNS投稿をきっかけとした炎上は後を絶たないのでしょうか?Webメディア評論家でSNS問題に詳しい落合正和氏は「デジタルネイティブ世代と、企業の経営者や幹部クラスとの”世代間ギャップ”がどうしても生じてしまうことが原因」と分析しています。
落合氏によると、アルバイトの中心となる高校生や大学生、10代後半~20代前半の世代は、物心がついた頃から携帯電話を始めとするガジェットアイテムが身の回りにありました。したがって、オンラインとオフラインの世界の壁を感じることが少なく、「学校で隣の席の友人と話をする感覚で、SNSに投稿している」。SNS上でのやり取りを常に誰かに見られているという感覚がないため、不用意な投稿をきっかけに炎上に繋がってしまうのです。
一方、企業の経営者や幹部クラスの多くは40代以上です。彼らはインターネットの情報が整理されていない1990年代前半頃からネットを利用しているため、オンラインの世界に対してはどこか怖い部分があるという「警戒心」を常に抱いています。しかし、次々に新しい機能が登場するスマートフォンをはじめとしたガジェットアイテムに対する知識では、「若い世代にはかなわない」という苦手意識があるため、ネットやSNS利用について若い世代を指導することへ消極的になりがちなのです。