【中島豊】新時代の『人事部』について考えよう

戦後から高度成長期、そして「バブル崩壊」。日本企業は高品質な割に価格の安い製品・サービスの提供という「アウトプット」の優秀さはもちろんのこと、欧米企業から見ると独特の「採用計画」「人材育成戦略」「肩書や役職の活用」などにより、そのプレゼンス(存在感)を世界的に高めていきました。

しかし、「バブル崩壊」以降は一転します。「重厚長大」と言われた鉄鋼、造船などのモノづくり産業を皮切りに、家電、半導体、精密機器などの日本が「最強」と言われた高品質、高付加価値のメーカー、さらには一時期までは世界と伍していた通信などのデジタル関連産業まで、日本企業はグローバル競争において、その存在感、いや、その「存在理由」まで疑われる状況になっています。

インターネットを活用する分野では、世界では「GAFA」に代表されるような、新しく巨大なユニコーン企業が数多く誕生しています。しかし、日本ではその可能性の「萌芽」すら、まだあまり感じられません。

なぜ日本企業はこのグローバル競争の時代に急激にその力を失ってしまったのか?

この「疑問」に対して、人事の側面から考えてみようというのが、この連載の、まず最初の目的です。この「疑問」の読解を基底にして、その次に、これから世界で通用する企業の「人事戦略」、そしてその支援部隊である「人事部」とは、どういった特徴を備えるべきかを考えていく方針です。

企業は「人」で出来ています。「食べるために働く場所から、幸せになるために働ける場所に」。企業に求められる「期待」も、時代とともに変わってきています。

この連載を参考に、人事戦略のこれからを一緒に考えていただければ幸いです。

【中島豊】新時代の『人事部』について考えよう

①あなたの会社の「人事部」は本当に必要ですか?
②「人事管理3.0」とは?HRテクノロジーの活用で階層がない「強化型組織」の実現へ
③宝くじで大金が当たった社員が辞めない会社を作るには
④福利厚生も有給もない?ネットフリックスから学ぶ人事制度のあり方
⑤だから世界で勝てない、「組織ありき」日本企業の問題点
⑥日本企業の「昇進=偉い」は、もはや時代遅れ?
⑦なぜ日本企業のトップは「定年の過ぎた」高齢者ばかりなのか?
⑧グローバル競争で絶対に勝てない日本企業の「素人人事」
⑨人事部に適した人材とは?グローバル企業で流行する「ウーリック・モデル」
⑩カンボジアより遅れている日本人のスマホ事情と高等教育の危機

◇中島 豊(なかしま ゆたか)
中央大学ビジネススクール特任教授東京大学法学部卒。ミシガン大学経営大学院修了(MBA)。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了(博士)。富士通、リーバイ・ストラウス、GMで人事業務に従事し、Gap、楽天、シティ・グループの人事部門責任者を経て現職。企業の人事部門での実務経験を背景に、人的資源管理論や人事政策論を専門とする。【著書】『非正規社員を活かす人材マネジメント』『人事の仕事とルール』『社会人の常識-仕事のハンドブック』(日本経団連出版)【訳書】『ソーシャル・キャピタル』(ダイヤモンド社)『組織文化を変える』(ファースト・プレス)

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