バレンタインのチョコを職場の女性社員に強要した上司はパワハラになる?

もうすぐバレンタインデーです。男性としてはチョコを貰えれば嬉しいですが、働く女性にとって「職場に義理チョコを配るべきか?」というのは悩ましい問題です。半ば強制的に義理チョコを配布しなければならない職場もあるそうで、実際にトラブルにも繋がっています。特に女性の部下がいる男性の方は要注意!職場での義理チョコ強要は、「パワハラ」になる可能性が高いのです。(社会保険労務士 前田敏幸)

バレンタインチョコを職場の女性社員に強要する上司は「パワハラ」!

女性が自分の意思で、自発的に職場でチョコを渡すのはもちろんまったく問題ありません。職場だけでなく、取引先やお得意様に対してバレンタインのチョコを配るのは、親交を深める意味でも有効な手段です。

ですが、特に同じ職場では、上司や先輩から義理チョコの配布を強要されるようなケースがあります。またそれが「当たり前」な文化として慣習化している職場もあるようです。

上司が部下の女性社員に「チョコをくれ」と強要した場合、これは実は「パワハラ」に該当する可能性が高いのです。

どこからがパワハラ?パワハラの定義とは

そもそも、パワハラとはどのようなことを指すのでしょうか?

厚生労働省委託事業の「明るい職場応援団」のウェブサイトでは、次のように定義されています。

『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為』
(引用:明るい職場応援団)

上司が部下にチョコを強要するということは、業務に関係なく、『上司としての職場での地位(優位性)を利用』して、強要する行為であり、女性社員が不快だったり、嫌だと思う(精神的苦痛)ようなことがあったりすれば、パワハラになってしまう、ということです。

実際には、露骨にバレンタインのチョコを強要するようなケースは稀だと思います。ですが、例えば「もうすぐバレンタインだね」や「もらえたらうれしいな」といった発言を思わせぶりに複数回繰り返すようなことをした場合は、直接強要するような言葉を用いていなくても、パワハラと判断される可能性が高いと思われます。

いくら意図しなくとも、受け止め方は相手次第。やはり職場の上長としては、「強要」と思われるような言動は慎しむべきものですね。

「女性社員一同」による義理チョコの代金徴収はパワハラ?

「課長にはあげるとして、ほとんど話したことがない部長にもあげるべき?」
「同期にあげたら、全員にあげないと失礼かな?」

バレンタインのチョコを職場で配る場合、どの職場のどの範囲の人にまで渡せば良いのかと悩まれる女性は多いと思います。

こうした悩みを解消するため、女性社員同士でお金を集め、女性社員みんなでチョコを購入し、職場の男性に一律に配るという「制度」を作っているケースがあります。同一金額を徴収して一律に配るわけですから、不公平感もなく、ある意味合理的かもしれません。

そこまでしてチョコを配る必要があるのか?と思うかもしれませんが、やはり「渡した、渡していない」でぎこちない関係になるのも嫌ですし、そうであれば、「共同で購入しよう」という発想になるのも納得です。

しかし、中には「本当はお金を出したくないけど、周りのみんながお金を出しているからしぶしぶ…」といった女性もいるかと思います。

これは問題になるのでしょうか?

嫌がる女性社員にチョコ代を出させた上司は「パワハラ」になる!

女性社員同士が、あくまでチョコを渡したい、お金を出したいという人だけが参加してお金を出し合うのであれば、もちろん問題ありません。

しかし、これが上司や先輩に強要されて、強制的にお金を出さないといけない、といったケースだと、嫌がる女性社員にとってはパワハラになってしまいます。

先ほどのパワハラの定義によると、上司や先輩が、その立場を利用して(職務上の地位を利用して)強要する、ということになり、嫌がる女性社員にとってはやはりパワハラになるということです。

では、「上司部下」の関係ではなく、あくまで同僚間で、みんなが出しているから自分もしぶしぶ、といった具合で実質的に強制するような空気ができている場合はどうでしょうか?

この場合は、対象が同僚同士なので、パワハラという判断にはならないかもしれません。しかし、このような状況を上司が把握していながらも放置してしまい、退職者が出るといった大きな問題にまで発展してしまった場合は、その上長としては管理監督者としての責任が問われることになるかもしれません。

そもそもバレンタインに限らず、職場の「風習」が「嫌だ」と感じる社員がいる中で、それを強制させるような雰囲気を作ってしまうことは、今の時代、働きやすい職場とは言えません。このような会社ではなかなか人材も定着していかなくなってしまうでしょう。ですから法律上パワハラには該当しないにしても、十分気をつけなければなりません。

バレンタインをめぐるパワハラが起きた場合の対処法

バレンタインの義理チョコをめぐり、職場でパワハラ問題が起きてしまったらどう対応するべきでしょうか?

上長としては、やはり具体的な調査を行い、適切な指導をすべきでしょう。場合によっては、当事者の人事配置の見直しや、加害者への懲戒処分も検討が必要です。

また、このようなトラブルが起きないように、朝礼やミーティングなどの場では、チョコの強要をしないこと、強要がパワハラにあたるかもしれないことなどを周知しておきましょう。

なお、こうした問題が起きた場合に気軽に相談できる「パワハラに関する窓口」を会社として設置しておくことも重要です。

バレンタインは職場の親交を深めるチャンス

職場の上司や先輩が、女性社員に対してバレンタインのチョコを強要するような行為は、当該社員が嫌な思いをすれば、立派なパワハラにあたります。また、直接的には強要していなくても、強要していると思われるような言動した時点で同様です。

女性社員からお金を徴収してバレンタインのチョコを購入するような制度も、社員が嫌がるようであればパワハラになるので気をつけましょう。何より、嫌な思いをしながら仕事をしている社員を放置しておけば、遅かれ早かれ大きな問題に発展しかねません。

節度を守り、バレンタインというイベントを上手に利用して職場内のコミュニケーションや親交を深めるきっかけとしましょう。

◇前田 敏幸(まえだ・としゆき)
社会保険労務士、行政書士。
ウィズアスグループCEO&Founder
スタートアップの助成金、補助金、融資などの資金調達支援に力を入れ、助成金の申請件数は国内トップクラス。働き方改革などの施策対応にも強い。残業代や解雇などの労働問題も多数扱ってきており、労働問題にも精通している。

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