2019年の日本経済はどうなる?国内外でリスクイベントが目白押し

米中貿易戦争、ブレグジット、消費税増税、東京五輪特需終焉……

当面のリスクは「米中貿易交渉」と「ハードブレグジット」

さて、 想定外のリスクはともかくとしても、現在世界が実際に直面しているリスクは数多く存在する。これらのリスクによって、日本経済も大きく影響を受ける。

<米中貿易交渉の行方>
米国と中国が関税の引き上げ競争によって2月末までの妥結を目指して協議している。もし決裂ということになれば、日本企業にも大きな影響をもたらす。とりわけ中国に進出している日本企業にとっては、中国経済の減速が心配だ。

米国に進出している日本企業も無傷ではいられないかもしれない。米中貿易交渉の結果次第では、 日米物品貿易交渉の行方にも大きな影響を与える。米国が始めた中国包囲網は米国の同盟国を巻き込んでいるため、今後どんな要求が米国から突きつけられるのか注目すべきだろう。

<ハードブレグジット(英国の合意なきEU離脱)>
英国議会がメイ首相のEU離脱案を否決したことで、合意なき離脱に現実味が出てきた。仮に、合意なき離脱のままブレグジットが実施された場合、金融市場や自動車メーカーなどに対する影響はかなり大きい。すでに米JPモルガンは19年1-3月期、及び4-6月期の英国の実質成長率を、前期比でそれぞれ0.5%ずつ下方修正している。

ハードブレグジットになれば、その程度の修正で済むはずがない。英国ポンドの暴落をはじめとして、世界経済に与える影響は非常に大きい。まさに、ブラックスワン的状況と言える。日本企業の一部にも、その影響は当然出てくる。

<米国経済の減速>
米国経済の好調さの背景には、トランプ政権による大型減税と積極的な公共投資の影響がある。問題は、こうした政府主導による景気拡大は、短期間で終わる可能性が高いということだ。

米国市場は年末年始にかけて株価が大きく乱高下し、ドル相場も揺れ動いたが、米国の長期金利が落ち着いている状況では、金融市場の乱れは少ないと見られている。むしろ、政府機関の閉鎖が長引いており、実体経済への影響が出てくるのではないかという点が懸念されている。

いよいよ迎える東京五輪バブルの崩壊

さて、肝心な日本経済だが、17年、18年とほとんど国内での大きな動きや変化はなかった。日本経済に硬直感があり、日銀の金融緩和政策も手詰まりで、アベノミクスが有効な効果をもたらせていない現実がある。

その点、19年は日本独特のイベントがいくつか揃っている。その一つは10月に実施される消費税増税だ。前回の5%から8%への引き上げ時に大きな影響が出てしまったように、経済成長にとっては大きなリスクだ。こうした影響を防ぐため、政府は軽減税率を用意したり、キャッシュレスの普及を兼ねて増税分を軽減したりするような措置を準備しているが、ある程度の影響があると考えるのが自然だろう。

IMFの試算でも、消費税増税によって需要が喚起され、日本の19年の経済成長率は1.1%の上昇と見ている。 もっとも、20年の成長率は0.5%と予測。増税の影響は20年に出ると予想しているわけだ。世界銀行の19年予測でも、日本のGDP成長率は0.9%だが、20年には0.7%と減速する。

19年のもう一つの懸念材料が、東京五輪バブルの崩壊だ。20年の東京五輪は、ここ数年の日本経済のけん引役だった。実際には五輪の経済効果には疑問も多く、東京五輪の予算は5兆円程度で、GDPの1%未満に過ぎない。

それよりもむしろ、五輪開催への期待値が個人消費を押し上げ、投資家の投資意欲を増すという相乗効果への期待が大きかった。そういう意味では、東京五輪開催まで1年を切る19年7-8月あたりで「五輪効果」が消える可能性は高い。

これまでも、近年の先進国で五輪開催後も景気が継続したのはシドニーくらいだと言われている。リオデジャネイロやロンドンは開催の1年ほど前から景気が減速気味になった。いずれも、リーマン・ショックなどの外的要因がきっかけになったのだが、五輪バブルがある分、変動幅が大きくなるようだ。

どうなる?アベノミクスの行方

日本経済の見通しでもう一つ注意しなければいけないのはアベノミクスの行方だ。すでに6年が経過しているが、目に見えた効果を実感することは少ない。そのアベノミクスが19年も継続することになる。

米国のFRBは18年だけで4回も金利を引き上げた。欧州中央銀行(ECB)も、昨年の9月から量的緩和策を縮小させており、年末には量的緩和終了を宣言している。

そういう意味では19年以降、景気減速などの事態になっても、米国やEUは金利引下げや量的緩和といった金融政策を打つことが可能な環境になっている。

一方日銀は、日本経済が減速を見せても適切な金融政策ができない状態にある。日本の株式や債券市場は、今年も穏やかとは言えない可能性が高い。

国内外でのリスクイベントが目白押しな2019年。日本経済には閉塞感が漂うかもしれない。

◇岩崎 博充(いわさき・ひろみつ)
経済ジャーナリスト
雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。
『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『グローバル資産防衛のための「香港銀行口座」活用ガイド』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)、『はじめての海外口座』(学研パブリッシング)、など著書多数。近著に『トランプ政権でこうなる!日本経済』(あさ出版)がある。

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