2019年の日本経済はどうなる?国内外でリスクイベントが目白押し

米中貿易戦争、ブレグジット、消費税増税、東京五輪特需終焉……

シンクタンクやエコノミストによる2019年の日本経済予測は、近年まれに見るほど悲観的なものが多かった。米国経済の先行き不安や米中貿易戦争の行方、トランプ政権の迷走といった海外リスクが数多く存在しているためだ。国内でも10月に予定されている消費税増税や、東京五輪特需の終焉といった懸念がある。混乱する世界経済と政治の狭間で、日本の国民生活はどんな影響を受けていくのだろうか。(経済ジャーナリスト 岩崎博充)

「トランプリスク」が最大の脅威

現在の世界経済を取り巻く環境は、これまで経験したことのない新しい時代を迎えている。

第2次世界対戦以降、米国は世界最強の軍事力を背景に、経済の面でも、技術革新の分野でも、他国を圧倒するパワーを誇ってきた。しかし近年は、「米国ファースト」を標榜するトランプ政権の誕生に代表されるように、苦境に立たされた米国が生き残りをかけて、世界中を支配しようと奔走している姿が見え隠れする。

とりわけ、米国と中国による貿易戦争は、2019年の世界経済に大きな影響を与えるだろう。ここに来て解決への道筋が見られるという報道もあるが、知的財産の問題や貿易不均衡に対する中国側の姿勢、国有企業による軍事的な技術転移など、米国の中国に対する不信感は大きく、今年もまた米中貿易摩擦は続くと考えるのが自然だ。

NAFTA(北米自由貿易協定)の続編である「USMAC(米国・メキシコ・カナダ協定)」、日本と米国で交渉がスタ-トした「日米物品貿易協定(TAG)」、そしてEUとの関税交渉。軍事面でのコスト負担も含めると、19年は米国が様々な意味で、同盟国への経済負担を強要してくることになるはずだ。

トランプ政権誕生以後、大型減税と景気刺激策によって好況な経済成長を維持してきた米国だが、ここに来て減速懸念が大きくクローズアップされている。米国の株式市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)による金利引上げの見通しがやや消極的なハト派にシフトしつつあると見て、年末年始に大きく下げた株価は持ち直しつつある。とは言え、不動産部門で価格が低迷するなど、米国の実体経済は予断を許さない状況にあると予測する専門家が多い。

昨年11月の中間選挙では、民主党が下院議会の過半数を獲得した。メキシコ国境との壁建設の予算をめぐっても、解決の見通しが立っていない。こうしたトランプ大統領をめぐる混乱は「トランプリスク」と呼ばれ、19年の世界経済に最大の脅威となりそうだ。

注意しておきたい「ブラックスワン」的な事態

こうした状況の中で、19年に一番注意しなければならないのは「ブラックスワン(想定外)的な事態」だ。日本経済にも様々なリスクはあるが、世界に存在する想定外の事態のほうがよほど大きなリスクと言える。実際に、世界が今後迎えるかもしれないブラックスワン的なリスクをいくつかピックアップすると、次のようになる。

1.トランプ大統領辞任
2.中国経済が大きく減速
3.原油価格の大暴落
4.ハードブレグジット(合意なきEU離脱)実現による金融システムの崩壊
5.リーマン・ショック級の金融恐慌
6.気候変動による損害が世界経済を脅かす規模に拡大

この他にも市場には様々なリスクがある。ドイツのリセッション(景気後退)入り、豪州の住宅バブル崩壊などのシナリオも想定されている。一見すべてがありえないシナリオのように思えるかもしれないが、そもそもトランプ大統領の出現もブラックスワンの一つと言われていた。世界経済を考えた時、こうした荒唐無稽なシナリオも考えておくべきだ。

消費税増税、東京五輪バブル崩壊…どうなる?日本経済

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