あなたは言葉(フレーズ)の引き出しに自信がありますか?ビジネスパーソンは使えるフレーズが多ければ多いほど、コミュニケーションの幅が広がり、周囲から好意や信頼を得やすくなります。状況や相手に応じた最適なフレーズを使うことで、相手に「気のきいたモノの言い方ができる」「語彙力や教養がある」と好印象を与え、「仕事がデキる」と評価されるのです。(伝える力【話す・書く】研究所所長 山口拓朗)
様々なビジネスシーンで求められる「大人な」言葉遣い
たとえば、わざわざ相手が来てくれたことへの感謝を示したいときに、「どうもありがとうございました」と伝えることは子供でもできるでしょう。ただし、「大人な言葉遣い」を駆使すれば、もっといい印象を相手に残すことができます。
「〔お越しいただき/ご足労いただき/足をお運びいただき〕、ありがとうございます」
こう伝えれば、相手に感謝の気持ちがより伝わりやすくなります。
さらに、これらの言葉の直前に「ご多忙のところ〜」「お忙しいところ〜」「ご多用のなか〜」「遠方にもかかわらず〜」などのフレーズを組み合わせることで、謝意のレベルが格段と上がります。相手が「この人は、こちらが出向いたことに心の底から感謝してくれているのだな」と認識すれば、あなたへの好意や信頼がグッと高まるはずです。
礼節や品格、マナー、相手への配慮などが重視されるビジネスシーンでは、その場にふさわしい「大人な言葉遣い」が求められることが少なくありません。接客や営業など、お客様と接する仕事であればなおのこと。高い成果をあげていくうえで、「大人な言葉遣い」ができるか否かは、軽視できないほど大きな差を生みます。今回は、「出会い、別れのあいさつ」や「お礼、感謝のフレーズ」を中心に、正しく「大人な」言葉遣いのバリエーションをお伝えします。
第一印象をガラッと変える一言「お会いできて光栄です」
初対面でのオーソドックスなあいさつは「はじめまして」ですが、その直後に
「お会いできて〔光栄です/嬉しいです〕」
と添えるだけで、第一印象がグッと良くなります。目上の人に対しては、「お初にお目にかかります」という敬語表現も使えます。あいさつのタイミングを逃したときは、あとから「申し遅れました。小林と申します」とリカバリーすればOKです。
久しぶりに会う人には、「ご無沙汰しております」や「しばらく(ぶり)でございます」などのあいさつが定番です。
その直後に
「お元気でいらっしゃいますか?」
「お変わりございませんか?」
と添えると、気遣いが伝わり、心と心の距離が一気に近づきます。
事前に相手の活躍ぶりが耳に入っているケースでは、
「ご活躍との噂をうかがっております」
「お変わりなくご活躍の様子でなによりです」
などの言葉をかけると、話が弾みやすくなります。
普段からお世話になっている方に対しては、つい「お世話になっております」で済ませてしまいがちですが、続いて、具体的な感謝の言葉を口にすると、相手も喜ぶことでしょう。基本は「いつも○○いただき、ありがとうございます」です。○○には「お力添え/ご協力/お気遣い/お心遣い/お助け」などの言葉を入れます。もちろん、より具体的に「いつも魅力的なデザインを考えていただき、ありがとうございます」「いつも的確なフィードバックをいただき、ありがとうございます」のような伝え方ができればベターです。