集客力抜群の「ポーカー」は、IRを満室にする「切り札」イベントだ!

東大卒ギャンブルライター片山真の「カジノの掟」 第六回

世界最大のトーナメントの優勝賞金は約10億円!

イベント優勝者にはキラキラのブレスレットが贈られる

最大の注目を集める「メーンイベント」のバイインは例年通りに1万米ドル。参加費100万円を超えるトーナメントに、昨年の第49回大会には、なんと世界からの「ツワモノ」が7,874人集まった。賞金総額は7,400万米ドルに膨らみ、優勝者ジョン・シン(米イリノイ州、33歳)が勝ち取った賞金は880万米ドル、邦貨にして約9億8800万円!。「eスポーツ」の勢いはすごいが、まだこれほどまでのビッグなイベントは行われていないだろう。

もちろん、生半可なことで夢をかなえることはできない。メインイベントは7月2日から始まり、優勝者が決まったのは7月14日、いや、正確に言えば現地15日の午前4時前だった。
この間、プレーヤーはずっと「ポーカー」をやり続けていたのだ。
知力と、持ち合わせた運だけでなく、体力の限りを尽くすのがポーカーの真剣勝負。
マインド〝スポーツ〟と呼ばれる理由がここにある。
特に、昨年の決勝テーブルは歴史に残る熾烈な戦いで(最後2人の争いを「ヘッズアップ」というのだが)、ジョン・シンとトニー・マイルズ(2位、米国)による「ヘッズアップ」は、神経を擦り減らすような「シーソーゲーム」が続き、決着までに10時間以上を要した。

ポーカーテーブルがぎっしり埋まるWSOP会場

参加できるお祭りに、人は集まる!
まさに「ポーカー」のお祭りといえるWSOPには、70以上のサブイベントも用意されており、これに誰でもが参加できる。〝世界選手権〟と銘打たれているものの、各国での正式な「代表決定戦」は行われておらず、その場で参加費さえ払えば、誰にでもビッグマネーを獲得するチャンスがあるのだ。

だからこの期間は、あれだけの数を誇るラスベガスのホテルも満杯状態になる。
本来、カジノによる収益のおかげで宿泊料金は低く設定されているIRの街でも、この期間の部屋代の「大きな値上がり」は仕方がないところだ。WSOP会場になるリオ・ホテルだけでなく、周辺の巨大ホテルのポーカールームも、スペシャルイベントで大いに賑わうというのが、いまや初夏のラスベガスの風物詩になっている。

筆者も地元のハッピを着て参戦した

シニアでも戦えるという「ポーカー」の魅力
2012年のWSOPで、日本人として初めてサブイベントにおいて優勝を飾った木原直哉さんによれば、「ポーカーって年をとってから始めるのに良いゲームだと思うんですよ」とのこと。
「年齢によるハンデが小さいし、運が良ければアマチュアだってプロにも勝てる。そこがポーカーの楽しさです!」シニアにはうれしい、プロからのコメントだ。
この先の「長い長い老後」に向けて、もう一つ趣味を広げようという向きには、持って来いなのではないだろうか。

筆者も過去2回、WSOPのシニアイベントに参加した経験がある。シニアといっても年齢制限は50歳以上。参加費も1,000米ドルだから、大会に向けて1年前から「ポーカー貯金」をしていけば、そんなに高いハードルでもない。
テニスコートが何面も入りそうな、広~いコンベンションホールにポーカーテーブルがぎっしり並べられ、そこにポーカー好きのジジ・ババが並んで座るシーンは、壮観というか驚きを飛び越えて呆れてしまうほどだ。みんなが「チップシャッフル」する〝カシャカシャ〟という音が、会場全体に響き渡る。
昨年のシニアイベントの参加者は5,918人!。1日に同時にスタートするトーナメントとして、WSOP史上「最多記録」を更新した。

各トーナメントには2時間ごとに休憩が設けられているのだが、その時、必ずトイレへの長い列ができる。〝シニア〟ならなおさらで、通路が人で埋まってしまい、列がどっちへ進んでいるか分からないほど。20分間の休憩なんて「アッ!」という間だった。そんな体験も良い思い出。65歳以上に参加資格がある「スーパー・シニア」に出られる年齢まで腕を磨き、ぜひとも、また参加したいと思っている。

では、このコラムのテーマである「勝ち目」が、ポーカーにはあるのか?!
その考察は次回に。

◇片山 真(かたやま まこと)
ギャンブル・ライター、競馬ジャーナリスト
1961年生まれ。東京大学農学部畜産獣医学科卒、同大学院修士課程修了。夕刊紙で本紙予想を14年間担当し、現在は夕刊フジで週末の競馬予想を展開している。カジノ歴は28年、デビューはマカオのリスボア。主戦はブラックジャックで、ドイツ・バーデンバーデンのカジノがお気に入り。海外遠征回数は3ケタを数える。

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