近年、グーンと伸びているのが「eスポーツ」。
世界の競技人口は1億人を超え、市場規模は1,000億円に迫るといわれる。アジア大会でも公開競技に採用され、国際レベルでは賞金総額が数千万円になる大会も出現してきた。
ただちょっと待てほしい。カジノには〝マインドスポーツ〟の大先輩が、ドーンと控えている。
そう、だれもが名前を知っている「ポーカー」だ。
連載第五回はコチラ
カジノで「将棋」や「囲碁」の取り扱いは?
2018年7月に公布された『特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)』では、「カジノ行為とは・・・」として、以下のように定義されている。
『カジノ事業者と顧客との間、又は顧客相互間で(中略)、偶然の事情により金銭の得喪を争う行為』と。
「得喪(とくそう)」とは「得ることと失うこと」の意味で、簡単に言えば後半部は〝運まかせで勝ち負けが決まるゲーム〟ということを指している。
となると、まず除外されるのが「将棋」と「囲碁」だ。
「偶然の事情」によらない、スキルの違いで勝負が決まるゲームは、勝つ人がほぼいつも決まってしまい、ギャンブルの対象にならない。
例えば、藤井聡太七段レベルの棋力の持ち主(本人は二十歳未満だからまだカジノに入れないが・・・)に、一般の腕自慢が「賭け将棋」を挑んでも、まず勝つことはムリ。駒落ちというハンデキャップ戦はあるものの、お金がかかる状況下で、公正な手合割を決めるのは難しい。同じ理屈で、グローバルにプレーされている「チェス」もアウト。絶対的なプロが存在し〝完全情報ゲーム〟と呼ばれる「実力差の出やすいゲーム」は、カジノでは遊べない。
さて「ポーカー」が採用される理由
先の法律の条文に戻ろう。
前半部に「又は顧客相互間で」とあるところがポイントだ。この言葉によって、カジノ対お客のゲームだけでなく、客同士の「取り合い」も法律で認められることになる。
条文のこの部分は、間違いなく「ポーカー」を強く意識してのもの。
「ポーカー」は集客能力が高く、大きなイベントを開くことのできるゲームである。カジノの「売り物」を、法律でハナから除外するわけにはいかないのだ。
世界で最も歴史があり、最も大きな大会が、毎年6月を中心にラスベガスで行われている「ポーカー世界選手権」(World Series of Poker=WSOP)だ。
1970年にスタートして、今年がちょうど記念の第50回大会。リオ・オールスイート・ホテル&カジノを舞台に、5月28日から7月16日まで、50日間のロングランで行われる。
かつてのWSOPは、最低バイイン(参加費)が1,000米ドルから1,500米ドルあたりが相場だったが、今年は50周年に合わせたのだろう、参加費500米ドル(約5万5000円)というお手軽なイベントも、開幕を祝うシリーズに組みこまれている。
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