平成の30年間で、日本人の生活は劇的に変わった。変化が特に顕著だったものを、項目別にみてみよう。(Soysauce Magazine Online編集部)※2018年7月12日掲載の記事をアップデートしました。
■電話
平成30年間で起きたライフスタイルの変化の代名詞といえば、なんといっても携帯電話の普及だろう。総務省の情報通信統計データベースによると、平成元年(1989年)度末の携帯電話・PHSの加入数は約49万件で、普及率はわずか0.4%だった。直後にはポケベルも流行したが、携帯電話の機能がどんどん進化し、普及率は平成12年(2000年)度末に初めて50%を超えた。スマートフォンが一般化した今では2台持ちも珍しくなく、平成29年12月末の加入数は1億7000万件を超え、普及率は133.9%に及んだ。
一方で、固定電話は携帯電話と反比例するように減少した。加入電話・ISDNの加入数は平成9年(1997年)度末の約6300万件をピークに減り続け、29年12月末は当時のおよそ3分の1にあたる約2100万件。今では受話器の取り方を知らない新入社員が話題になるほど、固定電話離れは進んでいる。
■インターネット
平成28年(2016年)の調査では、インターネットの普及率(1年間に利用したかどうか)は世帯で85.6%、個人で83.5%。高齢化が進んでいることを考慮すれば、ほとんどの世帯・個人がインターネットを利用していることがわかる。
従業者100人以上の企業では、ここ数十年ほぼ100%がインターネットを利用している。もはやインターネットなしの生活は考えられないが、一般に普及したのはここ20年ほどだ。平成9年(1997年)の普及率は世帯で6.4%、個人で9.2%に過ぎず、従業員100人以上の企業でも7割に満たなかった。
■平均寿命
5年ごとに集計している厚生労働省の統計によると、日本人の平均寿命は、平成2年(1990年)には男性が75.92歳、女性が81.90歳だったが、平成27年(2015年)には男性が80.75歳、女性が86.99歳と25年間で5歳前後伸びた。
現代は「人生100年時代」と言われ、2050年には女性の平均寿命が90歳を超えるとも予測されている。
■社会保険料
気になる社会保険料は、平均寿命が伸びるにつれて高くなっている。国民年金は、平成元年(1989年)には月8000円だったが、毎年改定されて30年度は1万6340円。厚生年金は平成5年(1993年)までは男女で料率に差があり、同年は男性が14.5%、女性が14.45%だった。
年金制度改正に伴い平成16年(2004年)から段階的に引き上げられていたが、29年9月をもって引き上げが終了し、18.3%で固定されることとなった。
■サラリーマンの平均年収
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、サラリーマンの平均年収はバブル絶頂期の平成元年(1989年)に始めて400万円を突破。ピーク時の平成9年(1997年)には467万円を記録した。
しかしそこからは減少の一途を辿り、リーマン・ショック直後の平成21年(2009年)には400万円を割り込みそうなところまで落ち込んだ。その後は「アベノミクス」効果もあって景気は徐々に上向き、平成28年(2016年)には421万円まで回復している。
■日本の外国人
都内では今や街で見かけることが当たり前になった訪日外国人は、平成の後期に入ってから急増した。日本政府観光局の統計データによると、平成元年(1989年)に283万人だった訪日外客数は、平成28年(2016年)には約10倍となる2400万人にまで増加した。
特に近年の伸び率が顕著で、平成24年(2012年)以降は前年の20~50%弱の伸び率を記録。円安を背景に、観光政策も一定の成果を上げているようだ。
■海外の日本人
海を渡って生活する日本人の数は、この30年間で2倍以上に増えた。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、平成元年の海外在留邦人数は、3か月以上滞在の長期滞在者と永住者を合わせて約58万人。そこから毎年増え続け、29年は約135万人が海外で生活していた。
国別にみると、中国が平成24年をピークに減少している一方、近年はオーストラリアやタイなどの伸び率が顕著だ。