マンション購入に逆風!“スルガショック”で住宅ローン審査が厳格化
マイホーム検討者を狼狽(ろうばい)させる原因は他にもあります。連鎖が止まらない不祥事です。
業界を震撼させた“スルガショック”では、スマートデイズが運営する女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の建設資金をめぐり、スルガ銀行による不適切な融資が明らかになりました。第三者委員会の調査結果では、「審査書類に多くの改ざんや偽造が行われ、相当数の社員が関与、あるいは積極的には関与しないまでも、偽造の事実を認識または疑いながら融資手続きを行っていた」とされています。
この一連の不正融資は住宅金融を直撃しました。信用収縮を招き、各金融機関の融資態度を硬化させました。日本経済新聞社が10月に全国の地銀105行に対して行った投資用不動産向け融資(アパート融資)に関する調査によると、今後、「積極的に融資を伸ばす」と回答した地銀はゼロでした。担保価値を保守的に評価するなど、4割強は「融資の審査も厳しくする」としています。当然、住宅ローン審査の厳格化にもつながります。住宅購入には強い逆風です。
また、賃貸アパート大手のレオパレス21では、同社施工の一部アパートに小屋裏界壁が施工されていない事実が判明しました。発生原因について、レオパレスは「図面と施工マニュアルの整合性の不備」と「社内検査体制の不備」を指摘しています。これにより、19年3月期の最終損益は黒字予想から赤字予想へと暗転しました。
さらに、10月には油圧機器メーカーKYBが、免震・制振オイルダンパーの検査データを改ざんしていた事実も明らかになりました。不正やその疑いがある製品が納入された物件は1102件(18年12月20日現在)に及んでいます。この中には分譲マンションも含まれています。
追い打ちを掛けるように、建材メーカーの川金ホールディングスでも性能検査データの書き換えが発覚しました。
いま、建物への信用不安が急速に高まっています。特に、免震や制振をうたうマンションを購入する際には、細心の注意が必要です。