【図解あり】「ROE」とは?計算式を覚えて投資家の判断基準を知ろう

【インヴィニオ代表 土井哲】デキるビジネスパーソンへの「自分開発講座」⑥

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ROEとは?投資家の重要な判断基準となる企業指標の計算式

前回「次回はROA改善の施策についてお話しします」と書いたのですが、その前にもう一つ重要な指標であるROE(Return on Equity)について、先に解説しておきます。

ROAが「営業利益/総資産」と定義されるのに対して、ROEは「税引後純利益/株主資本」で表されます。前回示した図に再度登場してもらいましょう。

ROEは、一番右の資本金と一番左の純利益の比率です。
なぜこの二つの数字の比率が重要なのか?
これは純利益が「誰のものか?」ということと関係します。

企業の資金調達の方法には「負債」か「資本金」かの、二つの方法があることはすでに説明しました。そして調達したお金で事業に必要な「資産」を持つのでしたね。(ですので、貸借対照表の「負債・資本の部」と「資産の部」は同額になります)そして、その資産を使って事業を行い「売上」を作ります。

当然ですが、この売上が全部手元に残るわけではなく「原価」が差し引かれます。モノを作るメーカーであれば、製品を作るために原材料や部品を仕入れますから、その代金は「原価」として外部に流出します。
また、生産に関わった社員の「給与」(労務費)も「原価」として算入されます。
卸売や小売業の場合には、商品の「仕入れ」にかかった金額が「原価」です。

売上から、これらの「原価」が差し引かれて「売上総利益」(粗利)が残ります。
しかし、この「売上総利益」も全額が手元に残るわけではありません。営業や管理系の社員への「給与」(人件費)、不動産会社への家賃の支払い、電力会社や水道局などへの水道光熱費の支払い等々があり、それらが差し引かれて「営業利益」が残ります。そしてさらに、銀行からお金を借り入れていれば金利の支払いがあり(この段階を「経常利益」と呼びます)、利益に対する「税金」の支払いもあって、最終的に手元に残るのが「税引後純利益」です。

では、最後に残ったお金=事業に関わった、すべての利害関係者にお金を支払った後に残った、この「純利益」とは誰のものか?
もうお分かりだと思いますが、この純利益は「株主」のものです。
株主が出した資本金に対してどれだけ利益が残るのか、それがROEであり、その会社に出資した株主にとっての「利回り」ということになります。金利水準や税率は国・地域によって違いますので、国・地域の違いも含めて、どの企業に投資するのかを判断する、重要な指標に「ROE」は、なるわけです。

さて、ROEは3つの変数の掛け算で表されます。(図参照)


純利益/売上高は、税率や金利違いも含めた「事業の収益性」を表します。
売上高/総資産は、ROAでも出てきました。少ない資産でどれだけ多くの売上を上げているか「資産の効率性」を表します。
では、総資産/純資産(株主資本)は何を表しているか?
これは実は間接的に「負債と資本金の比率」をみています。つまり、その会社の資金調達が負債(銀行借入など)に依存しているのか、資本金に依存しているのか、どちらに依存しているのかを見ています。

みなさんは、借金(負債)が多い会社と少ない会社、どちらが「良い会社」だと思いますか?
普通は「借金の多いのは危ないんじゃないの?」と考えますよね。
しかし、実は、株主の立場から見ると、借金の比率が高い方が「好ましい」のです。
これはとても重要なポイントなので、なぜ「好ましい」のか考えてみましょう。

→株主にとって、負債の多い会社が「好ましい」会社である場合とは?

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