東京五輪後の日本人が「1億総残酷社会」に絶望するこれだけの根拠

アベノミクスの結末は、恐ろしい重税社会の到来

永遠に働かなければならない「1億総残酷社会」の到来

政府は11月、世界から2、3周遅れで「移民法」(あえて「出入国管理法」とは言いません)の改正を国会で可決しました。今後5年間で34万人の「移民」を受け入れるとしています。「人手不足」が理由とされていますが、本当なのでしょうか? 低賃金労働を日本人がしなくなっただけではないでしょうか?

移民受け入れの本当の理由は、少子高齢化で年金財政がもたないからだと私は考えています。人口減で働く人が減れば、増え続ける老人を支えられず、賦課方式の年金は崩壊してしまいます。そこで、移民に年金を支えてもらおうというのです。

しかし、そんなに都合よくいくはずがありません。日本より稼げる国は山ほどあるのに、期待どおりの移民が日本に来るでしょうか? これもまた「皮算用」に終わるでしょう。

となると、政府は年金支給を先送りするしかありません。そこで議論され始めたのが「70歳支給」であり、「人生100年プラン」です。要するに、年金を出せないから、「死ぬまで働いて欲しい」というのが、政府が提唱する「生涯現役社会」であり、女性にも手伝ってもらおうという「女性が輝く社会」であり、「1億総活躍社会」なのです。

もはや、年金が破綻するかしないかはさして問題ではありません。それよりも、歳をとり身体が弱ってからも働かなければならない「生涯現役社会」のほうがよほど問題です。これは「1億総残酷社会」と言い換えることができます。2020年代のどこかで、日本はそういう社会になってもまったくおかしくありません。

異次元緩和終了→重税社会到来がアベノミクスの本当の成果

いったいなぜ、日本はここまでダメになってしまうのでしょうか?それは、政府が少子高齢化に対して具体的な手を何も打たず、問題を「先送り」にしたからです。そして、国債発行で借金に借金を重ね、返済を「先送り」にしたからです。

年を追うごとに問題は深刻化します。アベノミクスは根本問題にはいっさい手をつけず、「異次元緩和」というカンフル療法で、またも問題を「先送り」にしてしまいました。しかも、緩和というのは見せかけで、市中に緩和マネーは流れず、ほとんど日銀に「ブタ積み」されたので、1%のインフレも起こりませんでした。

長期金利はゼロに抑えられていますが、日銀はいまや、450兆円を超える日本国債残高と、日本の株式の約4%にあたる4兆円あまりのETF残高を抱えています。さらに、民間銀行のブタ積み当座預金を500兆円以上抱えています。これがアベノミクスの“本当の成果”です。

国民にはなんの恩恵もないのに、政府だけは財政破綻せずに生き延びられる。しかし、異次元緩和はいつか止めなければなりません。

そこでなにが起こるでしょうか?

国家財政の破綻が避けられないとなれば、悪性インフレが始まり、政府はなりふりかまわず増税を進めるでしょう。さらなる消費税のアップはもちろん資産税の創設や、相続税100%なんてこともあるかもしれません。晴れて「重税社会」の到来です。

こうして東京五輪後の日本は、「働いても働いても報われない」国になります。しかも、仕事はAIにどんどん奪われていきます。私たちは、こんな「残酷」な未来をどう変えていけばいいのでしょうか?

◇山田 順(やまだ・じゅん)
作家、ジャーナリスト、出版プロデューサー。
1952年横浜市生まれ。元光文社ペーパーバックス編集長。メディア、経済、ビジネスを中心に執筆活動中。主な著書は『資産フライト』(文春新書)、『新聞・出版 絶望未来』(東洋経済新報社)、『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)。近著は『東京「近未来」年表』(さくら舎)。

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