東京五輪後の日本人が「1億総残酷社会」に絶望するこれだけの根拠

アベノミクスの結末は、恐ろしい重税社会の到来

年の暮れになると、なにかと過去を振り返り、「この先どうなるのだろう」と考えるものです。2019年以降、特に20年東京五輪以降の日本について予測してみました。するとそこには、絶望的な「1億総残酷社会」が待っていました。(ジャーナリスト 山田順)

いざなぎ景気超えは真っ赤なウソ!すでに悪化し始めている日本経済

私は先日、『東京「近未来」年表―オリンピック後の10年で何が起こるのか?』(さくら舎)という本を出しました。この本は、日本社会と日本経済が今後どのように衰退していくのかをデータに基づき、克明に述べたものです。全編「悲観論」に満ちていて、明るい材料は何一つ提示していません。したがって、「あんまりではないか。そこまで日本をクサしていいのか」と言われてしまうこともあります。

ですが、この先、日本経済がはなばなしく復活し、日本が世界をリードしていくような時代が訪れると、あなたは考えられますか?よくて現状維持、悪くてクラッシュ(経済崩壊)まであるというのが、正直な見方ではないでしょうか?

日本の景気はすでに悪化しています。

12月13日、内閣府は現在の景気回復が2017年9月時点で、高度成長期に57カ月続いた「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さとなったと発表しました。これが19年1月まで続けば、戦後最長の74カ月となるというのです。となると、日本は空前の好景気に湧き、この年末のボーナスは大判振る舞いで、街は賑わい、モノは飛ぶように売れているはずですが、どこにそんな光景があるのでしょう。

この発表より大事なのが、10日に同じく内閣府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値の発表です。そこでは前期比0.6%減、年率換算では2.5%減と速報値より大幅に下方修正されています。

つまり、日本経済の落ち込みが、ここにきてかなり顕在化してきたということです。

震災復興予算、五輪特需がまもなく終了。消費増税が決定打となり景気低迷へ

景気回復が戦後最長の74カ月とは、すなわち第二次安倍政権が発足した2012年12月から現在までの全期間ということです。こんなに成長が続けば、どこの国でも普通は豊かになっています。しかし、この間のGDPの年間平均成長率は約1.3%。そのわずかな恩恵も、実質賃金が下がり続けているため、国民には行き渡っていないのです。

しかも、GDP全体をドルベースで見れば、12年の6兆2032億ドルから17年には4兆8732億ドルと大きく落ち込んでいます。この世界の価値はすべてドルで表すのが常識です。したがって、いくら円でわずかに成長できていても、それはほとんど無意味なのです。

さらにいえば、このわずかな成長も、26.3兆円もの東日本大震災復興予算(復興国債の発行)によってもたらされました。この巨額が5年間にわたり投下され、GDPを押し上げたのです。この復興予算はもう切れます五輪特需の予算も19年度で終わます。そして、19年には消費税増税が控えています。

いくら平成から新元号に変わり、気分が一新しても、19年の日本経済がずるずると落ち込んでいくのは間違いありません

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