さみしくなるか「お正月」。「CM皇太后」だった樹木希林と富士フイルム。

テレビには「世間の事情」が詰まっている! 遅塚勝一のお茶の間マーケティング講座 第5回

「名演技」は生業としての、職業役者という発想から生まれる

「名演技」 という一言では言い表せないほど、存在感のある芝居で、爪痕をしっかりと残す怪女優・樹木希林。たとえ、ほんのちょっとしか登場しない役であっても、目が離せない役者であり続け、作品そのものを底上げする。
果たして、その求心力はどこから生まれているのか?

「短い時間で、お金もらえて生活できるという(笑)面白がれるしね」
デビュー作のCMは55年前の静岡ローカルのお醤油のCM。
その作中で「しょうゆうこと」と、アドリブのセリフが使われたそう。
そしたらその年のワーストCMに選ばれたそうな。樹木希林さんはそこでTVCMの魅力を感じ、50年以上「面白がる」ようになったという。見たいなあ、そのCM。

気の向くままに時代の一瞬を切り取る「秒の俳人」だ。
瞬の演技は話題を生み時代となり、残る。怪女優から演技派へ世間の評価は変わる。

演技をやるために役者を生きているんじゃなくて、人間をやるために生きているということ。生きていく中の一つの生業(なりわい)として、役者っていう職業に就いただけなんです。だから、まずは人間として自分がどう生きるかということが、大切だと思ってますね。(そうすれば)こういう環境のこういう人だったら、そこでそういうふうにして生きていくのかな、って分かるようになります。なので、演技を見つけていくんじゃなくて、まずは人としてどう生きるか?そういうふうに思って役作りをしてるんですね、細かいところに集中しないで、ものごとの大きなところを俯瞰で掴む

樹木希林さんのCMは、富士フイルムが代表作と言われがちだが「ピップエレキバン」の一連のシリーズも「異彩」を放っている。
CMを「楽しんで」いる樹木希林さんの精彩を「楽しむ」には、絶好の広告だ。
奇しくも樹木希林さんがお亡くなりになった約1ヶ月後にご逝去された元横綱・輪島さんとの共演も切ない。
このイカれ方はもはやパンクさ。90年代の樹木希林さんCMの充実が、うかがえる。

「ピップエレキバン」
https://youtu.be/hLBTvgTeiyE

「今まで身過ぎ世過ぎで演じてきたから、結果がどう出てもあまり感動がないんですね。だから、あの役を演じたいとか、あの役を仕留めたいとか、そういうのは一切ないんです。将来の展望も何もないの。どういう役を演じたいですか、なんて聞かれても、何もないんです。ただ生きていれば次に仕事が来て「やれるかなー」っていう感じ。だから役者というものに対して、何も期待はしていないの。それは本当にそうなの。もう少しこういう役をやりたいとかって思っても良いはずなんだけど、そういうふうには、全然思わないの、思えないの」
得難いCMタレントを50年も見続けていた、いつのまにか。

→受け継がれていく?樹木希林さんの役者観

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