英国のEU離脱(ブレグジット)が大きな山場を迎え、日本のメディアでもたびたび報じられている。日本にいると海の向こうの話題には実感が湧きにくいが、ブレグジットは世界経済への影響が必至。いまのうちにブレグジットの基本を改めて抑えておこう。(経済ジャーナリスト 岩崎博充)
そもそもブレグジットってなに?
「ブレグジット」とは、 「British EXIT」(ブリティッシュ・エグジット=英国の離脱)の略語だ。2016年6月の国民投票で、賛成派52%、残留派48%という僅差ながら英国民は「EUを離脱すべきだ」という結論を出した。
実際に離脱する予定日は2019年3月29日。英国が自ら離脱する日として、英国法として成立させたものだ。残りわずか3か月ちょっとしかないのだが、「52対48」という結果が示す通り、英国内のブレグジット反対派はいまも数多く存在している。したがって、英国議会も簡単にはブレグジットにゴーサインを出せず、メイ首相に対して与党・保守党内からも造反者が相次いでいるのだ。
なぜブレグジットを実施するの?
EUの前身であるEECが発足したのは1957年。貿易や人の移動を簡単かつスピーディーに行うために作られた経済的な共同体だ。ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、オランダの6カ国でスタートし、英国は73年に加わった。
67年のEC移行を経て、93年に発足したEUは、関税を最小限に抑えて製造物の流通をスムーズにし、人の交流も自由化することで欧州全体の経済発展を促してきた。まさに「グローバリズム」を象徴する存在だ。18年12月現在、EUには英国を除き計27カ国が加盟している。
未来を見据えた経済共同体として機能していたEUだったが、人の交流などを自由化してしまったために、近年は移民流入や外国人労働者による失業問題が浮上。「自国第一主義」の考え方が徐々に高まっていった。やがて「ポピュリズム(大衆迎合主義)」をバックに、極右政党などが国民の支持を得ていった。
その象徴が、国民投票の末にEU離脱を決めた英国だ。ブレグジットの背景には、欧州全体を含んだ大きな時代の流れがある。