スマートフォンの進化が止まりません。特にファーウェイを始めとした中国勢は、長らく頂点に君臨していたアップルの牙城を崩すかのような勢いです。2019年にはいよいよ「5G」の時代が到来。テクノロジーの進化とともに、スマホとコミュニケーションツールの未来はどうなっていくのでしょうか?(携帯電話研究家 山根康宏)
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ついに終焉した「iPhone天下」の時代
iPhoneは毎年新機種が発表されましたが、大幅なモデルチェンジは2年おき。つまり、1度買って2年おきに買い替えていけば、陳腐化しないというモデル展開を行いました。また製品の種類が少ない反面、ケースなどのアクセサリが数多く出回り、自分好みのiPhoneに着せ替えることもできます。Androidスマートフォンではせいぜい10種類くらいしかケースがないのに対し、iPhoneは100種類以上もある、それも人気の秘訣でした。
しかし打倒iPhoneを目指す他社も黙ってはいません。iPhoneにはない機能や性能の新製品を次々に出していきました。サムスンが2011年に発売したGalaxy Noteは、iPhone 4の3.5インチを二回り以上も上回る5.3インチの大型ディスプレイを搭載。「そんなに大きな画面を使うユーザーはいない」と揶揄されながらも、結果的にはスマートフォンの大画面ブームを生み出します。
LINEやFacebook、TwitterなどのSNSサービスの普及も市場に大きな変化をもたらしました。Android利用者の増大に合わせ、SNSサービスもAndroidへの対応が早くなり、iPhoneと同じことがすぐにできるようになっていきました。また13年に始まった3Gの後継技術、4Gのサービスが始まると、スマートフォンの通信速度が劇的に高まります。それまで音楽はスマートフォンにダウンロードしてから聞いていたものが、通信回線を使って接続したまま、ストリーミング放送で聴取するようになっていきました。iTunesが使えないAndroidスマートフォンでも、Spotifyなどのストリーミングサービスを使えば最新の音楽をいつでも聴けるようになっていったのです。
iPhoneを追いかけ追い越そうと躍起になっていたAndroidスマートフォンも、画面サイズ、通信速度、メモリ容量、そしてカメラ画質の点で、iPhoneを上回るようになりました。サムスン、LG、HTC、モトローラといった古くからのメーカーがiPhoneのライバルでしたが、今最も勢いがあるのは中国メーカーです。ファーウェイ、シャオミ、OPPOなどが高性能なだけでなく、格安でコストパフォーマンスの高い製品を次々と送り出し、16年あたりからアップルの後を追う存在になりました。
中国メーカーの力が増大している。OPPOも日本に上陸した
中国メーカーは当初、低価格な製品で新興国を中心に販売数を伸ばしていきました。そしてSNSの普及とともに自分の顔写真(セルフィー)をシェアする文化がアジアを中心に広がると、それにこたえるようにフロントカメラ性能を強化してファンを定着させました。気が付けばiPhoneやサムスン、ソニーなど大手メーカーの製品よりも、中国メーカーのスマートフォンのほうがはるかに高画質なフロントカメラを搭載するようになっていったのです。若い世代を中心に中国メーカー製品を選ぶ動きが加速したのには、こんな理由もあったのです。
18年にはファーウェイが一時的にアップルの販売台数を抜き、9月に発表された新型iPhoneの販売数は伸び悩んでいます。ついに「iPhone天下」の時代が終わり、「AndroidとiPhoneの共生」へと時代は変わったのです。