米国の中間選挙は民主党が下院議員の過半数を制したことで、トランプ大統領の「暴走」に歯止めとなるツールを手にすることが可能になった。とはいえ、上院を抑えた共和党は、閣僚の人事権や弾劾裁判の最終審議を今までどおり握ることとなり、トランプ大統領が大統領でいられる期間は延びたと見る向きもある。(経済ジャーナリスト 岩崎博充)
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「トランプやりたい放題」の時代は終わった
もっとも、上院の得票数は民主党が少なくとも1000万票以上もの大差をつけて共和党を上回ったとみられている。米国の「1票の格差」は日本の比ではなく、上院では最大66倍を超えるとも言われる。人口の多い少ないに関わらず、州ごとに2議席が割り振られる現在のシステムが、米国内に大きな断絶をもたらしているのかもしれない。
一方の下院では、民主党が37議席増の230議席を獲得し(11月19日現在)、圧勝したといっていい。トランプ大統領によるなりふり構わない民主党批判は、結果的に米国を分断させた。下院を民主党が抑えたことは、トランプ大統領が「やりたいようにやれる時代」に終わりを告げたことを意味する。
トランプ大統領は選挙後、「民主党はやりたいようにすればいいし、私もやりたいようにやる」と記者団に述べたと言われる。あっけなく開き直ったわけだが、今後の政権運営に大きな影響をもたらすことは間違いない。
問題は、トランプ大統領が保護主義的な経済政策や北朝鮮、イランに対する地政学リスクに対して、今後どのような対応をしていくのかだ。就任以来続けてきた強硬な姿勢をトーンダウンさせるのか、それともさらにヒートアップさせていくのか。彼の頭の中は誰にもわからないが、現在のトランプ政権が抱えている問題点を整理しながら考えてみたい 。