いよいよ敬語テストも<<上級編>>です。今回のキーワードは「さ入れ言葉」。一見どこに間違いがあるかわかりにくいですが、決まりを覚えれば難しくありません。社会人として胸を張れるように、敬語の使い方をマスターしましょう。(伝える力【話す・書く】研究所所長 山口拓朗)
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間違え続出の「さ入れ言葉」
「さ入れ言葉」というのを聞いたことがあるでしょうか。学生時代に国語の授業では必ず習っているはずですが、ここでおさらいしてみましょう。
本来「〜せていただく」というフレーズは、「五段活用動詞」で発生します。
「書く」「聞く」「住む」「売る」
このあたりの動詞が五段活用動詞です。わかりにくい場合は、動詞の後ろに未然形の「〜ない」をつけてみましょう。
「書かない」「聞かない」「住まない」「売らない」
「ない」の 直前の語の母音が「あ」になる動詞だと理解できると思います。この五段活用動詞に思わず「さ」を入れてしまったものが「さ入れ言葉」です。
【通常の表現】 【さ入れ言葉】
・やらせていただきます → やらさせていただきます
・読ませていただきます → 読まさせていただきます
・買わせていただきます → 買わさせていただきます
・帰らせていただきます → 帰らさせていただきます
・休ませていただきます → 休まさせていただきます
・使わせてください → 使わさせてください
・送らせてください → 送らさせてください
このように、余計な「さ」を入れることによって過剰な丁寧表現ができ上がります。ちなみに、「サ行五段活用」については「試させていただきます」「話させてください」のように、「せる」ではなく「させる」が正しい形となります。これらは「さ入れ言葉」ではありません。「さ入れ言葉」を使う人が増えた背景には、この形(サ行五段活用) に引っ張られてしまったことと、“できる限り丁寧な表現にしよう”とする過剰な気遣いが、その原因としてあるのかもしれません。