<<敬語テスト初級編>>では、最も間違いの多い「尊敬語」と「謙譲語」の混用について紹介しました。今回の<<中級編>>では、慎重になるあまり過剰な表現となってしまう「二重敬語」について説明します。(伝える力【話す・書く】研究所所長 山口拓朗)
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「例の件、うかがいましたか?」は正しい?間違え?
前回のおさらいですが、敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。
◆尊敬語:相手や相手の行動に敬意を払うときに使う
◆謙譲語:自分がへりくだることで、間接的に相手を立てる(敬意を払う)ときに使う
◆丁寧語:「使う→使います」のように、相手や内容を問わず、表現を丁寧にしたり、上品にしたりするケースで使う
今回も具体例を見ながら、まずは尊敬語と謙譲語の使い方を整理しましょう。
✕ 会報誌を拝読されてください。
○ 会報誌をお読みになってください。
○ 会報誌をお読みください。
「拝読する」は「読む」の謙譲語です。したがって、敬う相手の行為には使えません。「拝読します」のように使います。もちろん「拝受」「拝見」「拝聴」なども同様です。
一方、「読む」の尊敬語は「お読みになる」であり、「読む+ください」の尊敬表現は「お読みになってください」です。敬意は少し下がりますが、省略型の「お読みください」でも構いません。
✕ プロジェクトAの件は、うかがっておりますか?
○ プロジェクトAの件は、お聞きになりましたか?
「うかがう」は「聞く」の謙譲語です。へりくだる形で「プロジェクトAの件は、うかがっております」のように使います。相手を敬う場面では「聞く」の尊敬語である「お聞きになる」を使います。
✕ お忘れいたしませんよう、お気をつけください。
○ お忘れなさいませんよう、お気をつけください。
「いたす」は「する」の謙譲語です。敬うべき相手には使えません。この場合は、尊敬語の「なさる」を使います。
✕ 戸田さんが参られました。
○ 戸田さんがお越しになりました。
○ 戸田さんがお見えになりました。
○ 戸田さんがおいでになりました。
○ 戸田さんがいらっしゃいました。
「参る」は「来る」の謙譲語のため、敬うべき相手の行為には使えません。へりくだる形で「今からそちらに参ります」のように使います。この場面では「来る」の尊敬表現(「お越しになる」「お見えになる」など)を使います。