来夏の参院選次第でアベノミクス終了も
なお、今回の消費税率引き上げのマクロ的な負担増加額は、引き上げ幅が2%にとどまることに加え、軽減税率導入や子育て世帯への還付などもあるため、前回8兆円/年の約四分の一の2.2兆円/年にとどまることになる。それでも、恒久的な負担増になるため、消費増税後の景気悪化は避けられないだろう。また、18年の建設投資をけん引した東京五輪特需も、過去の経験則を踏まえれば、その勢いのピークは19年夏ごろに訪れる可能性がある。
また、来春の統一地方選や夏の参議院選挙の結果次第で第三次安倍政権の基盤に揺らぎが生じることになれば、マーケット環境の悪化を通じて日本経済に悪影響を及ぼすリスクもあろう。日本株の売買は6割以上を外国人投資家が占めている。安倍政権の政権基盤が盤石なほど、外国人投資家が日本株を保有しやすくなるが、その逆で基盤が揺らぐほど手放されやすくなる。従って、来夏の参議院選挙の行方次第では、アベノミクスが終了する可能性もあり、そうなれば日本経済も後退を余儀なくされるだろう。
トランプ政権の政策運営もリスクだろう。減税や保護主義等によりインフレ率が加速すれば、FRBが物価の安定のために利上げを急がざるを得なくなり、中立水準を上回る金利上昇により米国経済が景気後退に陥る可能性もあろう。
また、新興国経済もリスクである。特に新興国の民間非金融法人の債務残高/GDPは過去にないほど膨張しているため、米国資金の本国還流などにより、経常赤字の新興国が経済危機や通貨危機に陥るようなことになれば、日本経済への悪影響も無視できないことになろう。