テレビ、新車の買い替えで個人消費活性化へ
こうした中、2019年の景気を占う上では消費税率の引き上げが大きなカギを握るだろう。特に、耐久財の買い替えサイクルに伴う需要効果は大きいと思われる。なぜなら、内閣府の消費動向調査によれば、テレビと新車の平均使用年数は9年強となっているからだ。
テレビや新車の販売は14年4月の消費税率引き上げ前に駆け込み需要で盛り上がったが、更に前に遡ると、09~10年度にかけてはそれ以上に販売が盛り上がった。背景には、リーマン・ショック後の景気悪化を受けて、麻生政権下でエコカー補助金や家電エコポイント政策が打ち出されたことがある。
これらにより、自動車やエコポイントの対象となったテレビ、冷蔵庫、エアコンの駆け込み需要が発生した。19年はそこから9年を経過していることに加え、10月に消費税率の引き上げを控えていることから、その時に販売された家電や自動車の買い替え需要が期待される。
特にテレビに関しては、11年7月の地デジ化に向けて多くの世帯で買い替えが進んだため、買い替え需要はかなりあると期待される。20年に東京五輪が控えていることも、買い替え需要の顕在化を後押しする可能性があるだろう。なお、19年の新天皇の即位に伴って、同年のゴールデンウィークが10連休となる可能性が高そうだ。もしこれが現実となれば、レジャーや観光関連市場でも特需が発生する可能性があろう。
ただし、足元の景気動向に関しては、自然災害に伴う一時的な悪化と判断する向きもあるが、今後の景気動向を見通すうえでは、米国の金利上昇や保護主義の悪影響といった押し下げリスクが潜んでいることには注意が必要であろう。特に、米国の金利上昇に関しては、このままいけば来年前半中にも政策金利であるFFレートが中立金利を上回る可能性があり、米国経済や新興国経済の足を引っ張るとみられる。また、米中貿易摩擦についても、年内に米中の歩み寄りがなければ、年明け以降は追加関税の幅が引き上げられることになっている。従って、国内の自然災害の影響も合わせて、今後の海外経済の動向次第で日本経済の景気後退局面入りの可能性が高まれば、来年10月に控える消費税率引き上げを先送りする理由になる可能性もあろう。