2018年も残すところ1ヶ月あまり。日本経済は好調な米国経済や東京五輪特需などの影響で大企業を中心に潤った。しかし、賃上げは期待通りには進まず、原油価格の高騰などにより個人消費は低迷。10月には株価も急落した。新天皇の即位や消費税引き上げを控え、大きな転換点となる2019年の日本経済を、第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミストの永濱利廣氏に占ってもらった。
米国一人勝ちだった2018年の世界経済
2018年の世界経済は米国中心に拡大し、底堅く推移した。特に米国は、トランプ減税の追い風等もあり、1%台後半とされる潜在成長率を上回る勢いで拡大している。
しかし、米国を除けば力強さを欠く状況にあり、ITサイクルのピークアウトに加えてトランプ政権による敵対的貿易戦略やFRB(連邦準備制度理事会)の利上げが足を引っ張ったため、ユーロ圏やアジアの経済は拡大ペースが鈍化している。
こうした中、18年の日本経済を一言で表現すると、「一進一退」といえよう。好調な米国経済やそれに伴う為替の安定に加えて東京五輪特需もあり、大企業を中心に設備投資は好調だった。一方で原油価格の上昇や自然災害が多発したことなどにより、個人消費の拡大は不十分だった。
好調な企業業績期待を反映して、日経平均株価もバブル崩壊以降の最高値を更新した。それなのに景気回復の実感が乏しかった原因は、政府が積極的な賃上げ対策を講じた割に、賃上げ率が力不足だったことがある。
また、エネルギー価格の上昇を主因に上昇した消費者物価が、家計の消費行動に対する慎重姿勢を誘発したこともあろう。