実はシルク・ドゥ・ソレイユもカジノホテル(=IR)が育てた!

東大卒ギャンブルライター片山真の「カジノの掟」 第三回

ベガスだけで6公演

『ミスティア』の成功で、知名度を一気に上げたシルクのツアー公演は、世界中に広がりをみせた。
『アレグリア』『キダム』『サルティンバンコ』……そして『キュリオス』。
これまで行われてきた日本でのツアーを楽しんだ人も多いだろう。
これらの「ビッグトップ」と呼ばれるテント小屋(小屋と言っても収容人員は約2,800人)で演じられるパフォーマンスは、どれをとってもワールドクラス。いつの間にか時間を忘れるほど惹きこまれていく。
ただ、常設公演とに違いがあるとすれば、大掛かりな舞台装置だ。
常設の大規模劇場にはハイテク技術を駆使した装置を仕掛けることができる。

最初にそのメリットを最大限に生かしたのが、1998年からベラージオ・ホテルで上演されている『O(オー)』だ。
フランス語で水を意味する eau(オー)にちなみ、巨大なプールを舞台に行われる水上パフォーマンス。アクロバットもすごいが、幻想的で何とも悲しい世界観に、初めて観たときは「このためだけにでも、ベガスに通いたい」と思ったほどだ。
だけど、ベガスに来ればボクは必ずカジノのテーブルに座る。
結局、IRというカジノホテルの戦略にズボッとはまる〝お客さん〟になっていた。

リピーターを生むキラーコンテンツとして、シルクの常設公演は現在、ラスベガスだけで6つの劇場で上演されている。『ミスティア』『O』に、『ズーマニティ』『KA(カー)』『ザ・ビートルズ LOVE』。そして『マイケル・ジャクソン ONE』。
どれも詳しく紹介したいところだが、いったん我が国のIR施設について話を戻そう。

KABUKIの可能性

連載第2回では、世界に〝魅せる〟スポーツイベントとして、大相撲を取り上げた。
伝統のショービジネスと言えば、だれもが「歌舞伎」を思い起こすことだろう。
だけど、正直言って、ボクには「大相撲」ほどの馴染みがない。家内が熱烈なファンだった勘三郎は何度も観たし、若い頃は「幕見席」を、ちょこっと齧ったこともある。

それでも歌舞伎の本当の楽しみ方を知らないのは、ボクが「無粋な男」だからか?
それとも、単なる勉強不足なのか。
ハードルを低くしてもらって、そんなボクを「標準的な日本人」とするならば、歌舞伎はやっぱり難しくて、敷居が高いものなのかもしれない。
歌舞伎や能・狂言といった日本の「伝統芸能」を、外国人旅行客に観てもらい、物珍しさの「初回」だけでなく、リピーターになってもらうには、どうしたら良いのだろうか?

2015年に市川染五郎(当時)、現十代目松本幸四郎がラスベガス、ベラージオ・ホテルの大噴水前で演じた「KABUKI Spectacle」のような、大仕掛けでアッと驚かせる方法が有力なのだが、昔から受け継がれてきた「歌舞伎」の要素を失うことなく、標準的な内外の観光客に受け入れられるエンターテインメントをつくりあげることが求められる。

実際、わずか3日間のラスベガス公演で約10万人の観客を動員した染五郎は、「これからも歌舞伎を進化させていきたい」と公演後に意欲を見せた。
こうした気持ちが作り手にある限り、400年以上の歴史ある「歌舞伎」は、まだまだ発展していく可能性を秘めている。それが我が国にできるIRと相乗効果を生み出せば・・・。
また一つ、魅力ある日本のIRの姿が見えてきた気がするのは、ボクだけだろうか。

連載第四回はコチラ

◇片山 真(かたやま まこと)
ギャンブル・ライター、競馬ジャーナリスト
1961年生まれ。東京大学農学部畜産獣医学科卒、同大学院修士課程修了。夕刊紙で本紙予想を14年間担当し、現在は夕刊フジで週末の競馬予想を展開している。カジノ歴は28年、デビューはマカオのリスボア。主戦はブラックジャックで、ドイツ・バーデンバーデンのカジノがお気に入り。海外遠征回数は3ケタを数える。

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