外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管難民法の改正をめぐる議論が活発になっています。深刻な人手不足に悩む日本企業は外国人の正社員採用に積極的で、日本企業が外資系企業に買収されるケースも珍しくなくなりました。近い将来、「あしたから私の上司(部下)は外国人」ということも、当たり前な時代になってくるでしょう。(行政書士 松村麻里)
仕事終わりの飲み会に違和感を覚える外国人
街中やお店で外国人の姿を見かけることは当たり前になりましたが、いざ同じ職場で、まして外国人の部下として働くことになると、戸惑うことも多いでしょう。まずは日本人上司と外国人上司の違いについて理解する必要があります。
日本人は昔から和を重んじます。職場の上司でも、「みんな仲良く、円満に頑張っていこう」という「人間関係重視型」が一般的です。
一方、外資系企業では「能力主義」がスタンダード。したがって外国人には、あくまでも「仕事で結果を出すためのチーム」として捉える「結果重視型」が多いので、職場の人間関係にそこまで重きを置きません。
最近は日本人でも欧米のように結果重視の姿勢で評価をする文化が浸透してきました。しかし、「仕事終わりの飲み会で親睦を深める」、「残業を共にする連帯感」のように、多くの時間を共に過ごすことを重要視する文化も根強く残っています。
以前、とある外国人から「日本では上司に付き合って飲みやカラオケに行くと昇進できると聞いたが、事実なのか?」と聞かれたことがありました。その真偽はさておき、この日本独特の文化は外国人からすると、とても奇妙に映るようです。
日本では当たり前な歓送迎会や忘年会、社員旅行についても同様で、「行きたければ行くし、行きたくなければいかない」というスタンスのため、全員が半強制的に参加する日本人とは一線を画します。宴席でのお酌や料理を取り分けるといった文化もありません。
繰り返しますが、外国人にとっての仕事は結果が最優先。合理性や効率を重視し、仕事とプライベートは明確に分けています。「職場以外で親睦を深めよう」という姿勢は、外国人には馴染みません。
外国人上司には積極的に意見しよう!
日本の企業では「上司・部下」、「先輩・後輩」といった立場の違いがあるのは当たり前です。給与体系が年功序列で定まっている企業も少なくありません。
ところが外国人は、「上司・部下」という立場はあくまでも「役割」であり、基本的にはフラットな関係であると考えています。外国人の上司は部下のことを「同じ仕事のプロ」として考えている為、日本人の上司と比べると部下の教育にはあまり熱心ではないようです。
しかし一方で、外国人には議論をすることで互いの理解を深めていこうとする姿勢があります。たとえ部下でも意見はどんどん発言してほしいと思っており、互いの意見をぶつけ合いながら成長していくことを期待しています。アプローチの違いはあれど、部下の成長を望んでいる点では日本人と同じなのです。