【開幕まで1年】ラグビーW杯の成否が懸かる「スポーツホスピタリティー」の本質

スポーツホスピタリティー定着のカギを握る3つのポイント

さて、スポーツホスピタリティーがワールドクラスのスポーツを取り巻くビジネスモデルの一つとしてラグビーワールドカップ2019™を、さらにはそれに続く東京五輪・パラリンピックを含む日本のスポーツマーケティングの中で成功・定着できるかどうかを占う重要なポイントが、3点ほどあると考えております。

①スタジアムの「悪しきハコモノ」からの脱却

欧米のスタジアムと比べると、日本のスタジアムの多くは残念ながら構造上の問題が散見されます。欧米の成功しているスタジアムでは、一般の観客席のフロアに加え、ホスピタリティー専用のフロアが設けられています。

2015年ラグビーW杯イングランド大会のホスピタリティー会場(STH Japan提供)

そこには一流レストラン顔負けの厨房を擁する本格的なレストランが複数入っており、世界大会に限らず地方開催の試合でも観戦チケットにお食事をパッケージ化したホスピタリティーパッケージが販売されています。

最近では選手たちがピッチに上がる花道を挟むように、カフェ・レストランを設けたスタジアムも登場しており、選手たちを至近距離で応援しながら飲食を楽しむ高付加価値サービスが人気となっています。また、試合が行われない日にはグループ単位でスタジアムの裏側まで見ることができるスタジアムツアーも実施されています。

チケット収入と場内の広告収入で建設、オペレーションのコストを回収するという従来の考え方は、人口が逓減傾向にある日本では殊更に限界を迎えています。スタジアムには単純な入場者数依存ではない、高付加価値提供による客単価向上を目的とした運営が求められるのです。

②コンテンツ自体の認知と理解の底上げ

スタジアムそのものの高付加価値化の話をしましたが、やはりコンテンツが王様です。スポーツ競技そのものの人気をいかに上げられるか、そのスポーツ競技の認知と関心の獲得を得られるかが最大の課題と言っても過言ではないでしょう。

スポーツの人気が上がれば、スタジアムを埋めるために無料招待チケットをばら撒くような方法論は不要になり、潜在的なコスト負担も大幅に削減できます。例えばラグビーの場合、初心者にルールを分かりやすく解説するため、協会主導でパンフレットを作成したり、ルールを説明する動画をアップしたり、試合会場の大型ビジョンで今起こった反則がどのようなものなのかを説明したりするなど、啓蒙ツールを駆使して観戦者の裾野拡大に努めています。

また、選手たちが試合以外の場で積極的にファンとの交流(ミート&グリート)や社会活動に協力することは、直接的・間接的なスポーツへの興味関心と理解の拡大、さらには観客動員の大きな後押しになります。その成果はスポンサーシップやマーチャンダイジングの機会拡大など、周辺ビジネスの活性化にもつながります。

当社のスポーツホスピタリティー事業も戦術の一つですが、そもそもそのスポーツの人気や期待があって初めて成り立つビジネスですから、お互いを補完し合う関係、と言えるでしょう。

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