ACから垣間見える、企業のお家事情 

テレビには「世間の事情」が詰まっている! 遅塚勝一のお茶の間マーケティング講座 第二回

デジタル広告の急成長のなか、未だに最大の広告メディアであるテレビ。
そのCMにはさまざまな「世間の事情」が詰まっている。
テレビCMには大きな広告費が必要となるだけに、大人のさまざまな思惑と狙いが反映されていると考えて良いだろう。現役CMディレクターの遅塚勝一が、テレビ番組やCMの背景を読み解きます。
<<連載第一回はコチラ>>

ACジャパンは、広告業界の潤滑油!

「え~し~じゃぱん🎵」のAC広告を、何故か最近よく見かける。
あれは本来スポンサーのCMを放送する枠なんだけど、スポンサーが「事情があって流したいCMがない」状態になってるから「ACのCMを代わりに流している」状態なんですね。
その理由として・・・

1、スポンサーの持ってる工場が何らかの理由で、商品の生産がストップしている。
2、売れ過ぎ、買いだめ等の影響で、市場に行ってもその商品が無い。
3、流したいCMはあるけど、不祥事等を起こし時期的にイメージが悪い。そんなときCMをちょっと 自粛しようと判断している。
4,その他

こうした場合、スポンサーからの申し出により、CMが「AC(え~し~)」に変更される訳です。つまり、ACの広告は「スポンサーがACの『素材』を借りている」状態なんです。そのACジャパンとは「公共広告」によって国民の「公共意識」を高めることを目的に、活動を行っている「ものすごくお節介」な民間団体です。

ACのポイントは「民間団体」であるという点で、番組中に流されるACジャパンのCMは、政府などは関与していません。公共のマナーをCMを通じて「改善しよう」という善意から生まれたものなのです。そこにACという団体の「自衛的」な存在意義があります。

正会員の年会費は12万円と、いかにも業界団体価格

ACはもともと、1971年の関西公共広告機構という団体が前身ですが、現在のACジャパンに名前が変更されたのは2009年。運営は会員による「会費制」となっていて、一般企業、放送業界、新聞業界、広告業界などが会員となっています。ちなみに年会費は正会員で12万円です。

正会員社数は1,000社を越える規模となっていて、広告主、広告関連業界の「横のつながり」としては、これはけっこうデカい。企業側(クライアント)と局側(媒体社)のピンチに素早く対応する「互助組織」としての側面もあるわけなんですね。

テレビ番組は、だいたい1ヵ月前には「すべてのCM枠」を決定しているわけで、地震や大災害が起こると「ドラマ」や「バラエティー」などの娯楽番組は、すべて休止して「報道番組」に切り替わったりします。

スポンサーとしては、もともと「広告の意図」にふさわしい「特定の番組」を見ている視聴者に対してCMを流し、自社やその商品・サービスをアピールしたいわけです。それなのに、災害の映像や被害者などの映像と一緒に「食べ物」や「車」など自社の商品・サービスをアピールするのは、かえってマイナスのイメージになってしまいます。その結果、スポンサーはCMを流さないようにテレビ局に依頼をかけますが、テレビ局としても直前には、CM枠の変更対応などが難しい場合がほとんどで、こういう時に借り出されるのがACジャパンのCMなのです。

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