「悪質・モンスタークレーマー」恐怖の実態と対処法 事実無根でもSNS拡散は止まらない

リスクマネジメントのプロが教える顧客対応

クレーム対応は最初の10分がカギ

顧客の不満から生じる「苦情・クレーム」と、一方的な言いがかりである「悪質クレーム」とは性質が全く異なる。しかし、悪質クレームの識別は非常に難しい。そのため、初動対応で見極めることが極めて重要だ。

まずは詳細を確認し、自社に非がある場合は誠意を持って対応する。不満を持っている顧客に接する時には、心をこめた対応が必須だ。顧客対応で最も重要なのは最初の10分間だと肝に銘じておこう。

<顧客対応のポイント>
①状況の確認
まずは相手の状況(主張)の確認。相手から聞いた事は、全て記録(メモ)に残し、常に整理することが重要である。最近は「サービス向上の為」や「当社に不手際がないかを確認する為」に録音する企業が増えている。重要ではあるが、mustではない。メモ書きで十分。
②相手を気遣う
苦情・クレームであれば気遣う心は心地良いはずだが、「悪質クレーマー」には逆に居心地が悪く感じる。これを怠ると、「心が入っていない」と相手にスキを見せることになり、後々問題に発展する可能性も。他社の商品についてのクレームであっても、「それは当社の商品ではないので言われても困ります」と対応するのと、「当社の商品ではないので対処のしようがないのですが、お客様にお変わりはございませんか?」と気遣いの態度を示すのでは、相手の反応は大きく変わる。
③事実確認
顧客が連絡をしてきた目的はなんだろうか。このお客様は、何に悩み、何を主張しているのだろうか。常に明確にしながら、事実を確認していくことが大切である。どうしても理解できないことがあれば、一旦相手の話を止めて、「失礼ですが、それは、・・・と言うことですか?」と事実の確認をしながら話の本質を正確に確認する。状況をしっかり聞き、把握してあげることで、相手からの信頼を得ることができる。
④証拠収集
顧客が言っていることが事実である場合、必ず証拠があるはずだ。商品破損などの場合は、必ず返品してもらおう。中には、「こちらで廃棄しておいた」と主張する顧客がいるが、もしも廃棄せずにそのまま利用していたり、オークションで転売していたりすれば、詐欺まがいの行為になる。証拠となるものはお金がかかったとしても、手元に戻るよう心がけたい。

もし悪質クレームに出くわしたら

悪質クレームの場合、相手の要求に応じた途端に主導権を握られてしまう。必要のない賠償を提示されたり、相手の言いなりになって賠償方法を提示したりしてしまえば、やがて相手の感情に応じて額面の高低を論じることになってしまうだろう。このような悪質クレーマーは、お金が必要となればまたやって来る。金品の取得に成功すれば、ノウハウとして販売することさえある。毅然とした態度で応対しよう。

総じて「顧客の声」は、経営を左右するとても大切なものである。しかし一方で、「顧客の声」は諸刃の剣でもある。とても有益だが、対応を誤れば自らを滅ぼす可能性もある。まずは、「顧客の声」の真偽を確認し、万が一悪質クレームに当たったときには、謙虚でありながらも、毅然とした対応が必要である。当然ながら、謙虚かつ毅然とした対応をするためには、自らが潔白でなければならない。もしも自社の対応が間違えていたのなら、早急に正す必要もある。社内での対応が困難である場合には、専門家や弁護士、警察などへの相談も視野に入れておこう。

◇東 弘樹(あずま・ひろき)東弘樹
通販リスクマネジメント研究所/HAZS株式会社代表取締役
1990年、大手クレジットカード会社に入社。16年間債権管理、決済関連業務などに携わる。2006年、通信販売企業向けシステム開発を経て、07年にHAZS株式会社を設立。17年筑波大学大学院にて「通販の債権管理」を研究テーマに、博士号を授与。独自に確立した「ネオリスクマネジメント」にて、成長する企業をサポートしている。日本ダイレクトマーケティング学会正会員。

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