ビジネスで最も重要なことの一つが顧客対応だ。BtoB、BtoC、ネット、リアルを問わず、顧客対応に悩む企業は少なくない。「顧客の声」をヒントに成長に繋げる例もあれば、いわゆる「悪質クレーム」で大ダメージを受けるケースもある。近年の悪質クレームの実態に迫るとともに、正しい顧客対応について考えてみたい。(通販リスクマネジメント研究所/HAZS株式会社代表取締役 東弘樹)
「検索」重視の現代社会で問題になる「悪質クレーム」
情報化社会における購買活動は、検索・比較によって決定づけられるとされている。そのため、市場からの新規顧客獲得は低迷しており、以前と比べて新規顧客獲得コストが想像以上に増しているのが現状であることをまず、確認したい。
顧客との関係で言えば最近、CRM管理ツールを導入する企業が増えている。ただし、ビジネスの相手(顧客)が生身の「人間」であることに変わりはない。「人間」である顧客には感情があり、それぞれが違う感性を持ち合わせている。
前置きが長くなったが、新規顧客の獲得に大きなコストが掛かる現代社会で既存顧客との優良な関係を続けるためには、顧客満足度を向上させるだけでなく、「顧客ロイヤリティ」を高めなければならない。顧客ロイヤリティとは、顧客がブランドや商品、サービスに対して感じる「信頼」や「愛着」のことだ。一般的には、顧客満足度を高めることで、顧客ロイヤリティも高まると言われている。
顧客満足は、顧客が商品やサービスを購入もしくは体験した時に、顧客自身が想像していた以上に気持ちが満たされた場合に起こる現象だ。例えば、見栄えの良くないホームページの会社が取り扱っている商品が最高級品で、従業員の対応にも文句の付け所がなければ、どう感じるだろうか?逆に、見栄えが立派なホームページを持つ会社にアクセスしたところ、商品・サービスの質や従業員の対応がごく一般的だった場合は、どうだろうか?
顧客は、会社や商品を紹介するホームページで一定の先入観を持つ。そのレベル以上のものが与えられると感動するし、それ以下であれば期待外れに感じる。したがって、常にどこかで先入観を超えるものを提供することが大切である。これらを最近では「顧客感動」と呼ぶようになってきた。顧客感動を与えることができれば、売上、収益増が期待できるのだ。
しかし、顧客満足や顧客感動の創出を阻害する大きな要因がある。これを解決しなければ、十分な感動を顧客に与えることはできない。それが、企業を攻撃してくる「悪質クレーム」への対応だ。