45年後の日本が迎える「総人口8,000万人」の世界

モデルケースは現在のドイツ

日本もいずれ直面する移民問題

ドイツでもう一つ驚いたことといえば、移民の多さです。これは1985年当時から今でも変わりません。清掃業やタクシー運転手の大半は移民の方でした。タクシーを利用すると、移民ドライバーから決まって「お前もアジアの出稼ぎのガストアルバイター(ドイツ語で外国人労働者)だよな」と言われたものです。ちなみに、ドイツの食材の中でも有名な「シュパーゲル(ドイツ語で白アスパラガス)」を収穫する作業も、ほとんどが移民によって行われています。ドイツではあらゆる産業で移民が活躍し、また国民も貴重な労働力として当たり前のように受け入れているのです。

ただし、全てが上手くいっているかというと、そうでもありません。現在、ドイツには移民や難民が大量に押し寄せてきており、大きな社会問題となっています。

日本でも、最近はコンビニ店や飲食店で外国人従業員の姿を見ることは珍しくなくなりました。2017年時点で外国人労働者は130万人近くおり、労働者の50人に1人が外国人となる計算です。政府としても受け入れ拡充に向けた政策を模索しています。労働人口の減少を補える貴重な存在として、外国人従業員への期待は高まるばかりです。

しかし、現在のドイツが抱えている移民・難民問題は、いずれ明日の日本でも直面しうるテーマです。もっとドイツの動向に注視する必要があるのではないでしょうか。

人口減で高まる「人」としての価値

話を日本に戻しましょう。

・宅配便の当日配達中止
・飲食業のアルバイト不足
・バブル期を彷彿とさせる就活売り手市場
・経団連による「就活ルール」撤廃
・やたらと目にする人材紹介企業の広告

こうしたトピックは、人口減少、とりわけ若年人口の減少という構造的な要因が背景にあります。人口減少の影響は既にいたるところで出始めています。

人口が減るということは、希少性経済学からいえば「人」の価値が上がるということです。ただし、黙っていては価値は上がりません。自分ならではの付加価値を磨くことで、「人」としての価値を日々高めることができるのです。ひとりひとりが「人」としての価値を高め、生産性が上がれば、柔軟で多様な働き方が可能になり、国民全体の幸福につながるのではないでしょうか。

45年後、日本の人口が8,000万人台になっても、今より高い生産性を確保できる可能性があることは、現在のドイツが示してくれています。AIなどの技術革新も、人口減社会の課題を解消できるツールとなるはずです。若者には、将来に悲観的にならず、前を向いた明るい未来を築いていって欲しいと願っています。

◇隅田 貫(すみた・かん)隅田貫
日独産業協会特別顧問
カンマネジメントオフィス株式会社代表取締役社長
1959年、京都府生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、MUFG(旧東京銀行)に入行。3回(計10年以上)にわたるドイツ・フランクフルト勤務を経て、2005年よりドイツのメッツラー・グループフランクフルト本社で日系機関投資家を対象とした投資顧問業務を担当。20年にわたるドイツ勤務経験を活かし、日独産業協会特別顧問として日独経済人の懸け橋として尽力している。

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