【小泉純一郎】意外な告白、自信満々の総理も実は「緊張と重圧の毎日」

小泉純一郎元首相特別インタビュー④

歯切れのよい物言いで知られる小泉純一郎元首相。約6年半もの間、どのような心境で日本のトップに立っていたのか。稀代のカリスマ政治家が考える、理想のリーダー像とは何か。(敬称略、Soysauce Magazine Online編集部)

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<<②与党も反対、退陣覚悟で放った「郵政解散」の奥の手>>

<<③「原発推進派」から180度態度を変えた本当の理由>>

小泉元首相 インタビュー

少子高齢化はマイナスばかりではない

「小泉内閣メールマガジン」の登録者数が200万人を超えるなど、ITバブルまっただ中の時流をうまく捉えた印象の強い首相時代の小泉。意外にも、通信機器の操作には疎いという。インタビューの中では、「スマホを使えないんだ。メールだってやらない。運転手を呼ぶときにしか携帯は使わない」と笑いながら高齢者向けの簡易的なガラケーを示し、通信環境や連絡手段の変化がもたらした影響についても言及した。

「今はゴルフをやっていても、歩きながらスマホを触っている人がいる。ゴルフくらいゆっくり楽しめばいいじゃないかと思う。対談や食事をしているときでも、すぐに連絡が来る。この間なんか、国会議員がスマホを見ながら歩いているのがテレビに映っていた。びっくりしたよ。我々の世代では、ああいうのをやられると礼儀知らずだと言われたもんだけどね。大臣だって携帯がカバンに入っているから、秘書官にカバンを持たせずに自分で持っている。我々の世代では『そんなみっともないことをするな』と注意された。時代が変わっているんですよ。そうでないと暮らせないような時代になってしまった」

少子高齢化や人口減に歯止めがかからない現状を、多くの人が憂いている。しかし小泉は、「日本の国土は狭いのだから、悪いことばかりではない。人手が少ない分はAI(人工知能)やロボット技術の進歩でカバーできる。外国人も入ってくる。人口が減れば消費電力も減る。マイナスなことばかりではないから、悲観することはない」と捉えている。また、未来の日本を担う若者に「政治への関心を高めてほしい」と注文を付けた。

「政治がしっかりしないと経済も国も発展しない。例を挙げればドイツだ。かつては東ドイツと西ドイツに分かれていたけれど、同じ民族だ。東ドイツは一党独裁の共産主義で、西ドイツは民主主義。発展していったのは西ドイツだった。北朝鮮と韓国も同じ民族だけど、どちらが発展しているかと言えば明らかでしょう。政治体制が違うと、発展に加えて国民の自由も変わってしまう。だから政治というのは大事なんだ。選挙は大事なんですよ。政治に関心を持って、自分に何ができるかを考えてほしい」

「若者よ、向上心を持て」

首相在職期間(1980日)は戦後歴代4位、平成では現在の安倍政権に次ぐ2位となる長期政権を築いた小泉に、リーダーとして求められる資質と、変化の激しい現代で生き抜くために重要なことを尋ねてみた。すると、実にシンプルな答えが返ってきた。

「総理の在任中は緊張と重圧の毎日だった。でも、国民に信頼されなきゃいかん。これが第一ですよ。『信なくんば立たず』と論語にあるように、信頼が一番大事。これはどの社会だってそうです。人間に対する信頼です。信用があればお金も仕事も付いてくる。信用が一番大事なんだ」

一口に言えば簡単だが、「信頼」を得るのに苦労しているリーダーは多い。小泉は続けた。

「信頼を得るような人間になるためには、学ぶことが大事だ。書物は自分の経験にないことを教えてくれる。人間の経験はわずかなものしかないが、書物を読むことによって、経験できない色んなことを学ぶことができる。変化が激しい時代は、いつ想定外の変化が起こるかわからない。だからこそ、常に考えておかないといけない。変化に対応する能力というのは、日頃の勉強や経験によってでしか身につかない。それが、対応力を付けていくための大事な要素だと思うね」

最後に、次世代を担っていく若者へのメッセージをお願いした。すると突然、近くにあった真っ白な紙に手を伸ばし、ペンを走らせた。「若くして学べば、壮にして為す有。壮になって学べば、老いて衰えず。老いて学べば、死して朽ちず」。自身が大切にしている江戸時代後期の儒学者、佐藤一斎の言葉だ。

小泉元首相 インタビュー
若者へのメッセージを依頼すると、小泉元首相は唐突に近くのペンを取り、佐藤一斎の言葉を記した。

「常に向上心を持つこと。やっぱり学ぶ心だよ。自分の知らないことはたくさんある。それを吸収するためには学ぶ心だ。向上心を持って、毎日過ごしていくことだね」

 

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