【小泉純一郎】「原発推進派」から180度態度を変えた本当の理由

小泉純一郎元首相特別インタビュー③

「原発は国内に原爆を持っているようなもの」

原発の話題になると、総理在任中の国会討論のごとく、身振り手振りが増え、自然と声のボリュームが上がった。訴えは続く。

「日本は、先進国で一番自然エネルギーの電力が少ない。米国もフランスもイギリスも中国も原発を利用しているが、それでも、日本より自然エネルギーの(占める)割合が高い。ドイツやスペインでは30%を超えている。だから日本は、自然エネルギーを推進すればいい。そうすれば今まで原発が供給していた分の電気量は自然エネルギーでも賄える」

日本の一次エネルギー国内供給構成の推移

原発のコストの低さについても反論を唱えた。「原発ほど金のかかる産業はない。原発1基を作るのに、鉄は使うしセメントも使う。この時点で二酸化炭素だって出している。さらに言えば、(原発を建設する)過疎地域の自治体に、多額の交付金、補助金を与えないと、許可が得られない。そんなコストは誰も考慮していない。まして東電は事故を起こして、その損害賠償も払いきれないから、国民の税金をくれと言う。廃炉するにも費用はかかるし、ますます安全対策の費用もかさむ。事故前は1基あたり5000億円程度で作れると言われていたけれど、今では1兆円は確実にかかる。原発ほど金のかかる産業ないんだ」

原発の安全性についての議論はあらゆる場でなされているが、日本のリーダーだった元首相が国民の安全の観点に立ってものを言うと、その重さも違う。政界を退いても、国民への思いは変わらないようだ。

「福島の事故は3基の原発でメルトダウンをしたけれど、もしもあと1基、4基目がメルトダウンを起こしていたら、250キロ圏内の住民が避難を強いられたというシミュレーション結果がある。福島の250キロ圏内と言うと、東北は全滅で、東京まで入ってくる。5000万人の日本国民が避難しなきゃいけなくなる。東京都民だけで1000万人ですよ。いったいどこに逃げるんだ、と言いたい。原発事故は天災や自然災害じゃなく、人災なんです。飛行機や自動車の事故とは比較にならない。1基放射能を拡散しただけで、何万人もの人が避難しなきゃならなくなる。何十年間もその地域には入れなくなる。故郷がなくなる。しかも、日本は地震も津波もしょっちゅうあるし、火山もある。テロでも起きたらとんでもないことになる。国内に原爆を持っているようなものだ。できるだけ早く、ゼロにしなきゃならない」

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