2度目の防衛は失敗に終わったものの、村田諒太選手が世界戦の地に選んだのは「ラスベガス」。
〝ボクシングの聖地〟とも呼ばれるラスベガスは、街全体でIR(Integrated Resort=統合型リゾート)を構成する「エンターテインメント・シティ」だ。
この夏、公布されたIR整備法には、その初っぱな=第一章の第一条に「我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するため」と、IRをつくる〈目的〉が記されている。
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観光立国実現へ
安倍首相が観光立国推進を宣言してから早や5年半。IR完成にはまだまだ時間を要するが、そこにどれだけ多くの人を集めることができるかは、構成するコンテンツの魅力にかかっている。
前回お伝えしたように、我が国に最初にできるカジノの面積は、その施設全体の3%以下。つまり、97%はカジノ以外の部分が占めるのだ。
アイディアを出すべきところは無数にある。
《観る》ために人は集まり、お金も動く
2015年5月、ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで行われた「世紀の一戦」、フロイド・メイウェザー・ジュニア対マニー・パッキャオ戦は全世界の注目を集めた。
1,500ドルから最高1万ドルのチケットは、ものの数分で完売。
PPV(有料テレビ)の売上げは4億ドル(約480億円)を超えた。
前日には、チケットを持っていない人までラスベガスに集結し、ホテルの宿泊料金は1泊1,000ドルを超える部屋も登場。そもそもアリーナに用意された観戦シートは1万7,000席ほどしかない。
それなのに、約15万室あるラスベガスのホテルが、ほぼすべて「満室」になったのだ。
これはアリーナを持つMGMグランドとは別のホテルで行われる、パブリックビューイング・パーティーに参加するためだったと言われる。
面白い興業があれば、そこには人が集まる。さらにそのお祭りムードに誘われて、何倍もの人が駆けつける。そんなイベントができる、スケールの大きな会場を日本版のIRには、ぜひ備えたい。