あなたの会社の「人事部」は本当に必要ですか?

中島豊 新時代の『人事部』について考えよう①

大きく変わる企業と働く人を取り巻く環境

東西冷戦が終結し、ベルリンの壁が崩れたように、主要国間の政治的な対立が緩和され、経済や人的交流など社会全体の「グローバル化」が始まると、体制の主義主張に「同化」されるのではなく、自己実現を目指した「個人主義」が広まっていきました。

こうした時代においては、日本企業型の中央集権型の組織は単に非効率になるだけでなく、変化に対して極端に「脆弱」になってしまいます。今、現場のマネジャーはこうした「人事部」に相当な不満を持っています。旧来の日本型の「人事部」が担っている採用、評価、育成が、いまの「戦略」と「現場」にマッチしていないという声は後を絶たない状況です。

このために、これまで人事部が一手に担ってきた「組織態勢づくり」や「人材育成」の仕事の大半は、現場に委ねられるべきであるという意見が益々強くなっています。さらに給与計算など、人事部に集中化させることによって効率を高めていた作業は、AIやRPAに置き換えていくべきだとも考えられています。

ある意味で、HPの創業状態に逆戻りしつつあるとも考えられます。

もちろん「人事部」も、こうした時代に対応すべく変革を考えてはいます。しかし、その歩みは極めて遅いと言わざるを得ません。人事部が変化を考えるとき、まっさきに頭を過るのは、「公平性」と「継続性」の二つです。「変化」することで誰もが幸せになることに、「人事部」は真っ先に心を砕くのです。常に「過去」を振り返り、その上で「未来」をつくろうとするのです。

しかし、そうした「変革」は、いまの現場が求めているものとは全く違うのです。

全く異なる「新しい人事部」の在り方

いま「人事部」に必要なものは「クオンタムリープ」(量子的飛躍)です。量子(クオンタム)は、ある「環境」が整うと、これまでとはまったく違う軌道に飛躍(リープ)することが確認されています。この量子の理論のように、この四半世紀で、企業や人材を取りまく「環境」が変わり、それに伴いテクノロジーも大きく変化しています。日本企業とその戦略に求められているのは、高度成長期からの連続性のある変化ではなく、量子的飛躍のような「変化」なのです。

その結果「人事部」も、これまでと同じ軌道上での発想から、非連続な思想への飛躍が現場から求められています。これに応えることのできない「人事部」は、明日にも不要な存在として解体されてしまう運命なのかもしれません。

次回以降、これからの日本という環境で、世界で通用する「人事部」を作るにはどうしたら良いのかという視点から、日本企業の「人事部」の課題や問題点について考えていきます。

【中島豊】新時代の『人事部』について考えよう

◇中島 豊(なかしま ゆたか)
中央大学ビジネススクール特任教授東京大学法学部卒。ミシガン大学経営大学院修了(MBA)。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了(博士)。富士通、リーバイ・ストラウス、GMで人事業務に従事し、Gap、楽天、シティ・グループの人事部門責任者を経て現職。企業の人事部門での実務経験を背景に、人的資源管理論や人事政策論を専門とする。【著書】『非正規社員を活かす人材マネジメント』『人事の仕事とルール』『社会人の常識-仕事のハンドブック』(日本経団連出版)【訳書】『ソーシャル・キャピタル』(ダイヤモンド社)『組織文化を変える』(ファースト・プレス)

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