仕事ができない人に共通するダメなビジネスメールの書き方②

メールは仕事を進める上での必須ツールです。どれだけ賢くて立派な知識や技術を持っていても、メールを上手に使いこなせなければ、「仕事ができない」という烙印を押されかねません。そこで今回は、「ダメなメール」の例を示しながら、正しいビジネスメールの書き方をおさらいしてみましょう。(伝える力【話す・書く】研究所所長 山口拓朗)

ビジネスメール
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不要な要素は極力省く

<<仕事ができない人に共通するダメなメールの書き方①>>では、どちらかというと「言葉足らず」の悪メールを紹介しました。一方で、むやみやたらとムダな内容を書き綴った冗長メールも好ましくありません。

【原文B】
佐藤一郎様

お世話になっております。
○○株式会社の鈴木です。

明後日の17日(火)15時に弊社でお約束している
お打ち合わせの件でご連絡いたしました。

明後日13時〜14時に東京駅構内のカフェで
クライアントと打ち合わせがあるのですが、
いま札幌にいるそのクライントの帰京が遅れて、
打ち合わせ開始が14時頃にずれ込むことになりました。
なんでも飛行機のフライト時間を勘違いしていたようなのです。
情けないほどの凡ミスですね……。

つきましては、誠に申し訳ございませんが、
明後日の15時にお約束しているお打ち合わせの時間を
16時にご変更いただくことは可能でしょうか。

たいへんご迷惑をおかけいたしますが、ご確認いただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

丁寧に事情が説明されていますが、「時間変更のお願い」メールでここまでの背景説明は必要ありません。また、このメールで最も大事なことは「時間変更のお願い」のはずですが、肝心な用件は後半になってようやく登場します。ビジネスにおけるメールの基本は「結論を先に書く」ことです。その点を踏まえて改善してみます。

【原文Bの改善文】
佐藤一郎様

お世話になっております。
○○株式会社の鈴木です。

明後日の17日(火)15時に弊社でお約束している
お打ち合わせの件でご連絡いたしました。

誠に申し訳ございませんが、
お打ち合わせの時間を16時にご変更いただくことは可能でしょうか。

直前の打ち合わせが、先方の事情で約1時間後ろ倒しになるためです。
(もし難しいようであれば、直前の打ち合わせをキャンセルいたします)

たいへんご迷惑をおかけいたしますが、ご確認いただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

序盤に「時間変更のお願い」の用件を伝える形にしたほか、札幌のお客様が遅れるという背景説明は、ばっさりカットしました。相手にとって必要のない情報と判断したからです(この場面でのくどくどしい背景説明は“言い訳”と受け取られるリスクもあります)。

なお、直前の打ち合わせが遅れるからといって、一方的に「時間変更のお願い」を求めるのは少々失礼です。したがって、改善文では「(もし難しいようであれば、直前の打ち合わせをキャンセルいたします)」の一文を加えました。あくまでも“あなたのほうが優先です”という姿勢を見せることで、相手も前向きに時間変更を検討しようという気持ちになるはずです。

メールは受け取る人のもの

「言葉足らず」がダメなら「ムダが多い」のもダメ。意識すべきは、その絶妙なサジ加減です。相手との関係性やメールの目的に応じて、過不足なく情報を盛り込むことが、社会人が書くメールには求められます。

絶妙なさじ加減のメールを書くためには、一にも二にも、メール受信者の立場でものを考えることが大切です。「(相手が)どういう情報を求めているか」「どう書けば(相手が)理解・納得してくれるか」「どう書けば、こちらが望むとおりに(相手が)動いてくれるか」――などの答えがわかっていなければいけません。クッション言葉などを使いながら、相手に敬意や配慮を伝えることも意識しましょう。内容は伝わっても、相手を怒らせてしまったのでは本末転倒です。

メールの書き方には、唯一の正解はありません。あるとしたら、その正解はメールを受け取る相手が持っています。メールは「(自分が)送る人のもの」ではなく、「(相手が)受け取る人のもの」だと心得ておきましょう。

◇山口拓朗(やまぐち・たくろう)ビジネスメール
伝える力【話す・書く】研究所所長。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。22年間で3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて「好意と信頼を獲得するメールの書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』(日本実業出版社)、『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』(明日香出版社)など国内外で20冊以上。

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