仕事ができない人に共通するダメなビジネスメールの書き方①

配慮に繋がる「クッション言葉」

【改善文1】で内容面での不備はなくなりました。ただし、コミュニケーションという点においては、もう少し工夫があってもいいかもしれません。欠けているのは、メール受信者への配慮と敬意です。人によっては、「一方的に打ち合わせの日時を指定してくるとはけしからん」と思う人もいるかもしれません(もちろん、言葉の善し悪しは、相手との関係性によって変化します)。

また、相手への配慮に繋がる「クッション言葉」も足りません。クッション言葉とは、相手にお願いや質問、確認、意見、指摘、謝罪、反論などをするケースで使われる「前置き」のことです。

・(誠に)恐縮ですが〜
・(誠に)お手数をおかけいたしますが〜
・(誠に)申し訳ございませんが〜
・(誠に)勝手なお願いですが〜
・お手間をとらせますが〜
・ぶしつけなお願いですが〜
・ご迷惑(ご面倒)をおかけしますが〜
・差し支えなければ〜
・大変失礼ですが〜

こうしたクッション言葉を使うことで、相手への配慮や敬いの気持ちが伝わりやすくなり、メール送信者の印象も格段に良くなります。

【原文Aの改善文2】
件名:杉並区小林邸のお打ち合わせのお願い

山田太郎様

お世話になっております。
株式会社○○の小林です。

杉並区の小林邸の間取りと仕様について
お打ち合わせしたくご連絡差し上げました。

以下の日時に空きがございますが、
山田さんのご都合はいかがでしょうか。

8日(金)の13時〜14時
11日(月)の10時〜正午
12日(火)の終日

もしもご都合が合わないようであれば、
山田さんの空き日時をいくつかご教示ください。

遠方で恐れ入りますが、
弊社までお越しいただくことは可能でしょうか。
ご検討いただければ幸いです。

なお、お手数ではございますが、お打ち合わせの際に、
A社製キッチンのカタログをお持ちいただけると助かります。

ご不明点、ご質問等ございましたら遠慮なくご連絡ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

「遠方で恐れ入りますが〜」や「お手数ではございますが〜」がクッション言葉です。これらの言葉を使うことによって、メール受信者は、自分に敬意が払われていると感じるはずです。

また、打ち合わせの日時は、ピンポイントで指定するのではなく、候補日を提示する形にしましょう。打ち合わせの場所についても「弊社までお越しいただくことは可能でしょうか」とお伺いを立てる表現に変えました。文末に「ご不明点、ご質問等ございましたら遠慮なくご連絡ください」と添えたのも好印象です。【原文A】との差は言うまでもなく、【改善文1】との差も歴然ではないでしょうか。

◇山口拓朗(やまぐち・たくろう)ビジネスメール
伝える力【話す・書く】研究所所長。出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。22年間で3000件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて「好意と信頼を獲得するメールの書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書は『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』(日本実業出版社)、『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』(明日香出版社)など国内外で20冊以上。


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