世界的にいびつな構造「東京一極集中」は五輪後に終焉する

四国に本社機能移転を続けるベネフィット・ワン社長の予言

多くの企業が人手不足に苦しむ中、福利厚生大手のベネフィット・ワン(東京都千代田区)は、松山市を中心とした四国地方にサテライトオフィスを次々に設立している。地代家賃や人件費が安い地方に本社機能の一部を移すことで、コスト削減とサービス向上を図るのが狙いだが、背景はそう単純ではない。白石徳生社長は断言する。「東京一極集中の時代は終わる。これからは、地方の時代だ」(Soysauce Magazine Online編集部)

地方創生 東京一極集中 ベネフィット・ワン

地方分散で家賃4分の1をカット

東京に本社を置く企業が、遠隔地でも支障の出ないオペレーションやコールセンターなどの業務の拠点を地方に構えることは、今や珍しいことではなくなった。かつては社内連携やコミュニケーション不足を不安視する声も出ていたが、テレビ電話会議が当たり前に行われるようになった今では、デメリットを探すほうが難しい。

東京よりも圧倒的に安い地代家賃や人件費といったコストが削減できるだけではない。人手不足による激しい企業間競争で採用難が続く首都圏とは違い、企業数の少ない地方では人材の確保も比較的容易だ。自治体によっては助成金で後押ししてくれるところもある。

ベネフィット・ワンでは2007年、業界に先駆けて松山市にオペレーションセンターを設置。東京と大阪にあったカスタマーセンターなどの業務を10年までに段階的に移管させた。その結果、10年3月期には地代家賃で25.5%、労務費・人件費で8.2%の削減に成功。18年9月現在、約500人が松山のオペレーションセンターで勤務している。07年に434人だった東京本社の従業員数も18年には279人とスリム化した中で、今年8月には東証1部指定を申請。確かな成長を続け、「地方分散」の成果を証明し続けている。

同社の白石社長は「当初は反対論も多かったが、案の定何の問題も出ていない。今後も、地方に持っていける機能は可能な限り移していく」と胸を張る。

人材不足は僻地で解消

ただし、松山市のような地方都市でも既に採用難の様相を呈してきている。18年7月現在、東京都の有効求人倍率が28か月連続で2倍台を記録しているのに対し、松山市では同月の有効求人倍率は1.63倍。開きはあるものの、地方に拠点を構える企業が増えた結果、人材の確保はどんどん難しくなってきている。

地方創生 東京一極集中 ベネフィット・ワン
愛媛県愛南町サテライトオフィスの調印式(ベネフィット・ワン提供)

そこでベネフィット・ワンでは、さらに過疎化の進む僻地に足を伸ばし、新しい拠点としての白羽の矢を立てた。今年1月には松山市から約130㌔南に位置する愛南町でサテライトオフィスを作り、8月末現在17人が勤務。10月には愛媛県西端にある八幡浜市にサテライトオフィスを開設し、精算業務やデータ入力などの事務作業の拠点とする。愛媛県外でもサテライトオフィスの開設が決まっている。

松山市を中心に、四国に相次いで拠点を置く白石社長の狙いはずばり、安定した雇用の確保によるサービスの向上と業務効率化だ。働き先が”選び放題”に近い東京では、スタッフの離職に悩まされることもあったが、住民の職探しという難題を抱えた過疎地では、定職率が一気に安定する。長期雇用が可能になれば、専門的な知識や長時間の教育、研修を要する高度な事務処理業務やオペレーション業務といった分野で、クオリティの高いパフォーマンスの発揮が期待できる。

白石社長は「空前の人手不足の中、まだ活用されていない人材と言えば、僻地に住む人や主婦しかいない。東京では仕事が多すぎて人が確保できないが、僻地では仕事を求めている人が大勢いる。このミスマッチを我々は解消したい」と強調する。

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