【千葉ジェッツふなばし社長 島田慎二】弱者が強者に勝つ「地域愛着」の戦略

島田社長が考える千葉ジェッツの「存在意義」

©CHIBA JETS FUNABASHI

「銀河系軍団」を形成して世界中のサッカーファンを虜にするレアル・マドリード(スペイン)のようなクラブもあれば、行政主導で大きなスタジアムを作ってチームを誘致する米大リーグのような形態もある。

スポーツにおける「地方創生」のあり方は、国や地域、競技によって様々で、正解はない。ただし、企業スポーツの文化が根強い日本では、チームの勝ち負けばかりに目が行き、「地方創生」としての感覚が薄いと言わざるを得ない現状がある。

島田社長は「地方の過疎化が進み、地域格差が広がっていく時代だからこそ、スポーツがチャレンジできるし、存在意義が問われる」と強調する。Bリーグにおけるクラブは地方自治体や地元企業の支えを受けなければ存続していくことさえ難しい。

島田社長は「地元の支えを受けるために、クラブとしての価値を上げて地域に貢献する。地元とのギブアンドテイクと真剣に向き合えるコンテンツ」としてプロスポーツ、特にバスケに大きな可能性を感じている。常に数年後の未来を見据える島田社長に慢心はない。悲願のリーグ優勝はもちろん、地元の誇りであり続けるために。

「まさに昔の工場のように、『この街からジェッツがなくなったら困る』と思われるような存在になれたらいいんじゃないかなと思います」Bリーグやスポーツ界を飛び越え、日本の新しい時代に必要不可欠な存在へ――。千葉ジェッツふなばしの戦いは、まだ始まったばかりだ。

◇島田 慎二(しまだ・しんじ)地方創生 千葉ジェッツ
1970年、新潟県生まれ。日本大学卒業後、旅行会社勤務などを経て2010年にコンサルティング会社を設立。千葉ジェッツのオーナーと親交があったことが縁で、12年にジェッツを運営する株式会社ASPE(現・株式会社千葉ジェッツふなばし)の社長に就任した。

千葉ジェッツの経済効果は20億円超え!

ちばぎん総合研究所が今年2月に公表した調査結果によると、Bリーグ初年度の2016-17シーズンに千葉ジェッツの活動が千葉県内に及ぼした経済効果は15億円だった。17-18シーズンは来場者の増加などにより、18億円と試算されていたが、プレーオフ決勝まで勝ち進んだことなどから20億円を超えるとみられる。

Bリーグ発足前から千葉ジェッツの経済効果を調査している同研究所の福田宏治主任研究員は、「優勝争いをするほどチームが強くなったことはもちろん、派手な演出などお客さんが楽しめるコンテンツを作っているのが好調の要因」と見る。

千葉ジェッツの本拠地がある船橋市のバックアップも忘れてはいけない。船橋市にはサッカーを始め、バレーボールや陸上、体操、バスケなどが全国区の市立船橋高校があり、元々スポーツに関心の高い地域性がある。ミニバスも盛んで、県大会では船橋市のチームが毎年のように優勝している。市ではチケットを格安で販売するなど、千葉ジェッツの経営が軌道に乗る前から全面的に支えてきた。

福田研究員は「都市部では自治体としてのアイデンティティを持つのが難しいが、船橋市は千葉ジェッツの試合がない日でも、ホームタウンとして盛り上がりをみせるようになってきた。千葉ジェッツはバスケに限らず、地域ビジネス成功のモデルケースであると言える」としている。

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