困難な時間も人生で言えば一瞬に過ぎない
――現役時代の話になりますが、最も印象的な出来事はなんでしょうか。
「忘れられない瞬間はたくさんあるよ。いくつものゴール、ワールドカップ(W杯)、所属クラブでのタイトル、個人表彰。温かいファンの声援だってそうさ。僕は、サッカーはいつだって人々に喜びをもたらすものだと思っている。サッカーを見たみんなが幸せそうにしているのを見ると、僕も幸せだったよ」
――あれだけ活躍されたロナウジーニョさんですから、成功の裏にはハードなトレーニングや厳しい練習があったと思います。多くの人はそれを「苦しい」と感じてしまいますが、どうやって乗り越えましたか?
「アスリートの辞書に『諦める』という言葉はないんだ。それは僕も一緒さ。困難な時間も、人生で言えば一瞬に過ぎないからね。僕らはいつでも習うことで、より強くなるんだ。だから、辛いことがあっても、決して夢をあきらめないでほしい。むしろ喜んでチャレンジしてほしいね」
――ロナウジーニョさんでも挫折を経験したことはありましたか?
「もちろんあるよ。常に勝つのは不可能だからね。でも勝利に必要なことを知るためには、時に敗北も重要なんだ」
――代表ではW杯優勝、クラブではチャンピオンズリーグ(CL)優勝、個人でもバロンドール受賞と、サッカー界で考えられるあらゆる名誉を手にしました。「頂点」を極めてからは、モチベーションを保つのは難しくなかったですか?
「そんなことはない。サッカーに終わりはないからね。サッカーは世界で一番人気のあるスポーツ。僕はいつだってそんなサッカーとリンクして見られてきた。それは大変名誉なことだから、モチベーションが下がるなんてことはなかったよ」
満員のスタジアムでゴールを決めるという夢が全ての始まりだった
――多くの人は、富や社会的地位、名声を欲しがります。ロナウジーニョさんがサッカーを通じて手にしたかったものはなんでしょうか?
「どんなサッカー少年でも、将来サッカー選手になることを夢見ると思うんだ。僕も少年時代、サッカー選手になることを夢見ていたよ。サッカー選手は誰だって、家族を裕福にしてあげたいと思うはずだし、僕も名声やお金は非常に重要だと思うよ。でも、僕にとっての全ての始まりはそこではなく、満員のスタジアムでゴールを決めるという夢だったね」
――やはり夢が大切なんですね。サッカー選手にはどのような才能が必要だと考えますか?
「強いトレーニングと熱心な気持ちがなければ、誰もサッカーはできないよ。だから僕は、強い気持ちが全てだと思う。サッカー選手は、色んなことを我慢しなければならない。良く食べて良く眠る必要があるし、たくさん練習しないといけない。そこに気が回らないようなら、サッカーはできないよね」
――成功者になれる人とそうでない人の違いはなんでしょうか?
「全てのサッカー選手が勝者であり、成功者だと思う。でも、トップに上り詰めることはとても難しいよね。重要なのは、一生懸命努力すること。そうすれば幸せになれると思うよ」